written in 2005/10/10
事例:HEAT USA 他
消費者の味方となって国内で初めて安売り量販店の基礎を築いたダイエーが破綻し、その創業者である中内氏も逝去された。まさに流通業界における一つの時代の終焉を示しているようにも感じるが、消費者の価値観や行動は現在でも進化し続けている。昔と比べると商品情報の伝達経路が飛躍的に発達したことによって消費者は「小売り」という枠の中だけに縛られることなく、新たな買い物の方法を提案してくれるカテゴリーキラー的なサービスに殺到している。ネットオークションや商品比較サイトの台頭はその好例といえるだろう。
これからの流通業界にとって脅威となるのは、消費者と消費者とが結び付くことで生み出される口コミの影響力や交渉力である。ネットではそのような結束力のある集団を“コミュニティ”というが、古い時代からの変遷でいえば、消費者団体の形が進化したものとみることもできる。そこで新たな時代の購買スタイルとして注目してみたいのが「共同購入を目的とした団体」である。これを米国では「バイイング・グループ(Buying group)」と呼んでいて、分野によっては小売業者や卸業者を上回るほどの影響力を持ちはじめている。
オンラインショップが販促の目的で「注文人数が多くなるほど売価が安くなります」という共同購入キャンペーンを実施することもあるが、本来の共同購入は、“買う側”の消費者同士が結束して団体を作り、小売店を飛ばしてメーカーとの直接交渉を仕掛けるもので、“数の力”(=バイイングパワー)で強いプレッシャーを与えて好条件を引き出すことが本質である。
2000年頃にはネットで共同購入団体を作ろうとするベンチャー企業が多数登場して大きな期待を集めたが、現在では大半が消滅してしまっている。その理由は、共同購入の力を発揮できる商材対象を見誤ったことによる点が大きい。どんな商品でも共同購入が通用するというわけではなく、大きな購買パワーを発揮するに適した商材がある。そこに気付きさえすれば、現代の共同購入団体が流通事情を大きく変える可能性がある。
(海外ネットビジネス事例一覧へ)
●生活協同組合の行き詰まりと新たな方向性
●米国で人気化するフードコープの仕組み
●フードコープと消費者組合員の関係について
●数の力で交渉するバイイング・グループの影響力
●石油業界に影響を与える共同購入グループ
●小売業とは異なる共同購入ショップの台頭
●オンライン・グループ購入による割引販売の仕組みと問題点
●団体メリットを生み出すための正しい合同購入ビジネスの方向性
●企業とは反対側に立つ消費者団体としての起業と事業プラン
●オンライン消費者の時代に台頭する情報ビジネスと専門職
JNEWS LETTER 2005.10.10
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