written in 2005/6/10
事例:Open Media Network 他
いまではインターネットを通じて様々な商品が購入できる。ネット内では商圏が一つに集約されることによって、消費者は最も“お買い得感”のあるショップを利用することが可能だ。しかしその便利さを実感できるのは日本国内の範囲に限られているのが現状。海外のショップから安い商品を自由に購入できるところまでには及んでいない。国境を越えて“商品”を行き来させるには税関手続きなどを通して様々な規制がかけられているためである。また、国際間の送料が高いという問題もある。物理的な商品を扱っていく上では、やはり国境の壁はまだまだ高い。
その一方で、ネット取引によって国境の壁を楽々と越えてしまうのが“物”を伴わない無形のサービスだ。例えば、海外アーティストの最新ヒット曲を購入したければ、海外の音楽サイトからデータをダウンロードすることで瞬時に自分の携帯プレーヤーに取り込めてしまう。ダウンロード価格は1曲あたり1ドル前後と、国内のCDショップで購入するよりも安い。
このように無形のサービスが国境を越えて展開されるビジネスは「サービス貿易」と呼ばれている。従来の貿易は“有形の物”が伴うことを前提としてルール(関税や協定など)が各国間で決められているが、無形のサービスが国境を越えることはそれよりも遙かに容易である。
しかしネットを経由したサービス貿易が各業界に与える影響はかなり大きい。国内の規制や利権によって守られていた業界では、海外のサービスがオンラインで流入してくることによって従来の利益が浸食される反面、これから事業を立ち上げる新興企業にとっては様々な国際ビジネスを展開できる商機も生まれてくる。事実上の「国境」が存在しないオンライン上では、あえて“貿易”とは意識しなくても、従来とは違ったタイプの“越境”サービスが続々と登場している。特に医療や教育、エキスパートなどの知的分野で目立っている。
(海外ネットビジネス事例一覧へ)
●音楽から映像へと向かうデジタルコンテンツ流通
●海外から届く診断結果〜医療サービスの貿易
●国際的な人件費格差を利用した人材ビジネスと教育サービス
●国境を越えるオンライン英会話レッスンの仕組み
●従来型英会話スクールとの収益構造の比較
●国境を越えた専門知的財産の流通ビジネス
●ゼネコン業界における外国人技術者の活用と公共工事の入札価格の関係
●サービス貿易の自由化によって押し寄せる波の捉え方
●日中ビジネスの橋渡しをするブリッジ人材の役割と育成ビジネス
JNEWS LETTER 2005.6.10
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