ワークスタイルの違いで変わる生涯資産の考え方
サラリーマンが新卒から60歳までに稼げる生涯賃金は、大卒男性が約3億円(退職金は除く)と言われてきた。しかし、生涯賃金も時代と共に下がっており、1990年代と比較すると2000~4000万円も下がっている。さらにキャリアの途中で転職した場合は、1000万円程度下がる。退職金も勤続年数や職級によって差があるが、20年前には2500万円の支給条件に該当した人は、現在の支給額が1700万円台にまで落ち込んでいる。
その一方で、賃金から天引きされる税金や社会保険料の割合は上昇しているため社内の出世競争に勝ったとしても、生涯に貯められる資産額は少ないのが実情である。国民生活基礎調査(2019年)によると、30~40代の平均世帯は貯蓄額よりも借入額のほうが多く、50代後半になっても貯蓄から借入を差し引いた純資産額は500万前後しかない。
一般世帯が抱える借金の大半は住宅ローンだが、最近のマイホーム購入年齢は平均で43歳と高齢化していることから、住宅ローンの完済年齢も75歳以降となる世帯も増えることとなり、資産を増やしていく余裕はさらに無くなっていく。政府が掲げる資産所得倍増プランは、投資ができる余裕資金のある世帯が対象となってしまうため、批判の声が大きいのも事実だ。いずれにしても、これからの時代は「収入倍増」よりも「資産倍増」の意識が求められるようになる。
【働き方で変わる生涯資産額】
国民の社会負担が重くなる時代には、個人の年収を上げる努力だけではなく、働き方の違いによって生涯資産に大きな差が生じてくる。
サラリーマンとして仕事をするにも、スーツ、靴、交際費、さらに共働き世帯では保育園の費用などもかかってくる。サラリーマンには、給与額に連動した所得控除額が一律に算定されているが、それ以上の必要経費は認められていないため、自腹で負担している必要経費も少なくない。
しかし、リモートワークに働き方を変えることで、これら経費の多くを軽減することができる。そのため給料が下がることを覚悟しても、通勤よりもリモートワークを希望する人は増えている。しかし実際には、通勤者よりもリモートワーカーのほうが年収レベルも高いことが明らかになってきた。
ロックフェラー研究所では、パンデミック以降にリモートワークに移行した世帯の割合を年収階層別に追跡調査しているが、そのデータによると、どの時期においても、世帯年収が10万ドルを超す層のリモートワーク率は、他の年収階層よりも高く、2022年8月の時点でも55%となっている。その理由は、リモートワークができる人材は、もともと高い給料を得ている層であることに加えて、通勤しないことで生じた余剰時間を副業などに回して、複数の収入源を作りやすいためと考えられている。
■Remote Work during COVID-19(Rockefeller Institute of Government)
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