ハイブリッドワーカーが変える賃金体系と求人市場
パンデミック以降は、リモート職種への応募者が急増しているため、米国企業の中では、不当に安い賃金で地方人材を採用したり、既存社員に対しても、賃金体系の見直し(減額)を条件として、在宅勤務を認めるようなケースも出てきている。しかし、これはリモート人材に対する差別であり、「同一労働同一賃金」の原則に反する行為になるため、各州が賃金の透明性を高める法改正を強化してきている。
米国内で最も厳しく賃金の透明性を追求するのがコロラド州で、2021年1月に改正された同一労働同一賃金法では、同州で求人活動を行う企業は、リモート職を含めたすべての職種に対して、給与額、ボーナス、コミッション報酬、有給休暇の日数、各種手当てなどの詳細を、広告上または自社サイトへのリンクによって開示する必要がある。
給与条件の提示についても、たとえば「会計職6万~10万ドル」というレンジの広い掲載方法には問題があり、「会計士の有資格者は8万ドル、10万ドルまでの昇給あり」「資格の無い者は6万ドル」というように、経験、スキル、資格などの違いによって、具体的な給与水準を示さなくてはいけない。
従来、リモート人材の採用活動では、求人広告に「リモート勤務可」の掲載をして、応募してきた人材の居住地や職務経験によって、報酬条件を相談しながら決めていく方式が主流だったが、これは同一労働同一賃金のルールに反する行為とみられるようになっている。
ただし、こうした賃金法の改正は、すべての州が足並みを揃えて実行しないと、規制が厳しい州に住む労働者だけが、求人案件が少なくなる弊害もある。現状ではリモート人材の求人広告で「コロラド州在住者は対象外」と明記する企業が多く、新たな採用格差が生まれている。それでも、今後はコロラド州以外でも同様の法改正が進むとみられ、リモートワークの普及と共に、賃金体系の平等と透明性は進む方向にある。
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