コロナ禍で成長する不動産販売の個人エージェント業
コロナ禍では、人気の不動産が富裕層向けの地方物件にシフトしていることから、セールスの方法にも変化が起きている。富裕層向けの別荘は100万ドルを超す物件も多いことから、ゼロから顧客を開拓していたのでは、買い手を見つけにくい。そこで日頃から富裕層と付き合いがある、税理士、弁護士、銀行の営業担当者などとエージェント提携して、彼らの顧客を紹介してもらい、物件契約が決まった時には、成功報酬を支払う仕組みにしている。
このようなエージェント提携は、富裕層との人脈が広い職業に就くスペシャリストが、個人的な副業として行っているケースもあるし、銀行や証券会社などが業務として行うケースもある。いずれも売買契約が決まれば、1件あたりの取引額は高額になるため、エージェントに支払われる成功報酬も大きなものになる。
日本でも、海外と日本国内で高額物件の販売仲介を手掛ける、リスト株式会社が2021年4月から、個人に販売代行を委託するエージェント制度を開始している。
同社は、世界の高級不動産を販売する「サザビーズ・インターナショナル・リアルティ」の国内独占営業権を取得しており、登録エージェントは顧客の紹介や、売買契約締結まで一連の業務を行うことで、手数料収入の最大50%を得ることができる。
サザビーズ・インターナショナル・リアルティは、米国の大手不動産仲介会社「Realogy(リアロジー)」が、老舗オークションハウス「Sotheby's(サザビーズ)」からブランド名のライセンス供与を受けた子会社で、世界のリゾート地にある高級別荘を取り扱っている。同社は、フランチャイズ方式で世界各国に営業拠点を作り、さらに個人エージェントを販売代理店とすることで、富裕層向けの販売ネットワークを広げている。日本でも、軽井沢、京都、熱海、ニセコ、沖縄などにある別荘物件を扱っているが、10億円以上の物件が主体となっている。
高額の別荘を売るには、現地物件の案内と同時に、資産管理や税金対策などの相談対応が求められ、通常のマイホーム販売よりも専門的なコンサルティングができる人材が必要になる。その点では、地方在住の税理士などが、不動産エージェントを兼業することの相性は良い。
■サザビーズ・インターナショナル・リアルティの国内物件
■物件の紹介映像例(沖縄)
個人エージェントを介した不動産取引は、米国では古くからあるものだが、これをリモートワークと融合させたビジネスが急成長してきている。2009年に米国西海岸で創業、2013年にナスダックに上場している「eXp Realty」は、リアルなオフィスや店舗を持たずに、リモートワークによる不動産エージェントのネットワークを広げることで、業績を急拡大させている。コロナ禍では、リアル店舗への来店を避けたい住宅購入者の利用が増えたことから、米国不動産業者の中で取扱高が3位となり、株価は2020~2021年にかけて約10倍に高騰している。
(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2021.8.13
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ
■この記事に関連したJNEWS会員向けバックナンバー
・ポストコロナで渇望するアウトドアレジャー開発の視点
・コロナインフレで広がる貧富格差と富裕層の資産構成
・築古住宅を商品化する買取り再販ビジネスの採算構造
・地方に埋もれたリモートワーク都市と農村物件の収益化
・仕事とリゾートを兼ねたワーケーションの休暇スタイル
・IT重説と電子サインで変わる不動産賃貸の契約手続き
※バックナンバー用ID、PASSWORDを入力してご覧ください。
(新ワークスタイル事例集)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)
これは正式会員向けJNEWS LETTER(2021年8月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。