神奈川県三浦市では、空き家物件を活用した「トライアルステイ事業」を2015年から展開。この事業は、不動産業者と提携して、空き家になっている中古住宅を自治体が数ヶ月の期間で借り上げ、移住希望者に対して転貸しする仕組み (JNEWSについてトップページ
空き家住宅を活用した移住トライアルステイ事業

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JNEWS会員配信日 2020/7/15

 移住希望者の中では、実際にその土地に1~2週間住んでみる「お試し移住」に対するニーズが高まっている。これは従来の観光旅行とは異なるマーケットと捉えることもでき、地域の空き家対策と連携して、新たな不動産ビジネスに繋がるチャンスがある。

移住のスタイルにも、都会の自宅を売却して地方への移住を決意する「定住型」の他に、都会の自宅に加えて地方にセカンドハウスを持つ「二拠点居住」、数週間のスケジュールで田舎暮らしを楽しむ「お試し移住」などがある。このように移住生活が多様化しているのも、地方でリーズナブルな空き家物件が増えていることが関係している。

神奈川県三浦市では、空き家物件を活用した「トライアルステイ事業」を2015年から展開している。この事業は、不動産業者と提携して、空き家になっている中古住宅を自治体が数ヶ月の期間で借り上げ、移住希望者に対して転貸しする仕組みになっている。

今年で6回目となる2020年度のプログラムでは5つの中古物件が用意され、希望の物件に「日割りコース(1泊2日~5泊6日まで)」「1週間コース」「1ヶ月コース」のプラン日程で、トライアル移住をすることができる。移住期間中には、三浦市内をバスで巡るツアーや地域住民との交流会も開催されるため、実際の街の雰囲気や人情を肌で感じることができる。

トライアル移住の参加料金は、申し込む物件の仕様によって異なっているが、1LDKの区分マンション(41平米)が1週間あたり37,500円、宿泊施設としても使われている酒屋の古民家が、1週間55,000円に設定されている。これらのトライアル住宅は、物件選定が毎年変わるため、トライアルステイに何度か参加して、自分が望む移住スタイルに適した住宅のタイプを探すことも可能だ。

このプログラムには毎年、募集定員を上回る応募件数があり、年齢や家族構成、職業(三浦市からの通勤が可能か、またはリモートワークが可能か)などの項目から審査をして、各物件とのマッチングを行っている。プログラム開始からの実績は5年間の応募数が283件、トライアルステイの参加数が116件、その中で実際に移住を決めたのは6件となっている。

三浦市のトライアルステイ(お試し居住)制度

《トライアルステイ事業の枠組み》

 三浦市のトライアルステイ事業も、まだ実験段階のプロジェクトだが、同市では、高校を卒業すると就職や進学を機に、東京へ転出する若者が多く、そのまま故郷には戻ってこない割合が高い。人口は10年前よりも6.3%減少しており、2040年までには出産女性人口が5割以上減少して少子高齢化が進む、消滅可能性都市の一つに指定されていることから、移住者の誘致活動には力を入れている。

しかし、都心からは電車で70分、自然は豊かな土地柄であることから、毎日通勤する必要が無いフリーランスやリモートワーカー世帯を呼び込むことができれば、転入者を増やすことができる。三浦市の住宅相場は、ファミリー向けの中古マンションが約2,300万円、中古一戸建ても約2,100万円と安いことから、不動産業者が自治体と提携して、リモートワーカー向けのサテライトシティ(衛星都市)とすることも不可能ではない。

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