働き方改革で求められるフリーランス組合の役割
会社との雇用関係が無く、独立して働くフリーランスの中でも、組合組織が結成される動きはある。1995年に米国で設立された「Freelancers Union(フリーランサーズ・ユニオン)」には、45万人もの個人事業者が加入しているが、その大半はニューヨーク在住者である。ニューヨークでは、デザイナー、プログラマー、テレビ業界、出版、演劇などの分野を中心に、約130万人がフリーランスとして働いているが、その中のおよそ1/3は同団体に加入している。
フリーランス=従業員ではないため、Freelancers Unionは労働組合としての、団体交渉権は持たないが、フリーランスの福利厚生を充実させることに重点を置いている。非営利団体の立場で、団体への加入は無料としているが、収益事業としての活動が成り立っている。それは、フリーランス向け健康保険の販売が大きな収益源になっているためだ。
米国では公的保険制度が充実していないため、フリーランスは、個別に保険会社と契約して、事故や病気に備える必要がある。しかし、個人の立場は弱いため、大企業よりも割高な条件で加入しなくてはいけない。そこで、Freelancers Unionは、ニューヨーク地域のフリーランスを組織化することで、保険会社との交渉を行い、安価な契約条件を引き出している。保険会社にとっても、フリーランス組合を窓口とした団体契約であれば、営業経費も抑えられるため、好条件を出しやすい。
Freelancers Unionの中でも、フリーランス向け健康保険プランは、年齢や医療サービスの利用頻度によって複数のコースが用意されているため、30歳未満かつ健康体であれば、40代や50代よりも保険料を大幅に抑えたコースを選ぶこともできる。こうした組合活動の充実により、ニューヨークにはフリーランスの移住者が増えて、クリエイティブな業界が活況になるという相乗効果も起きている。
日本では、公的保険制度が整備されているため、米国のようにフリーランスが個々に民間の保険会社と契約する必要はない。ただし、国民健康保険は学生から高齢者までが加入しているため、所得が高い者ほど、高い保険料を払うシステムになっており、高収入を得ているフリーランスにとっては大きな負担になる。また、家族世帯と比べて、単身者のほうが、1人あたりでみた保険料の負担額も大きい。
しかし、文芸や美術分野に従事している、個人事業のフリーランスについては、「文芸美術国民健康保険組合(文美国保)」という、専用の保険組合が1950年代から運営されている。文美国保の保険料は、収入には関係なく、組合員1人につき月額19,600円、家族は1人月額10,300円の固定金額となっている。そのため、年収が高くて、家族が少ないフリーランスやアーチストにとっては、市町村の国民健康保険に加入するよりも、年間の保険料が安くなる。
(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2019.12.3
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ
■この記事に関連したJNEWS会員向けバックナンバー
・定年後のダブルインカムを実現するシニア起業の方法
・2重就職でダブルインカムを実現する新ワークスタイル
・兼業で時間収益を最大化するパラレルワーカーの働き方
・同一労働同一賃金で広がるリモートワークの新たな働き方
・労働組合の集金システムに習う退職者団体のビジネスモデル
※バックナンバー用ID、PASSWORDを入力してご覧ください。
(新ワークスタイル事例集)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)
これは正式会員向けJNEWS LETTER(2019年12月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。