製造業の現場ではIoTツールの進化により、すべての作業者が同じ工場の中で働かなくても、異なる場所で製品の組み立てや整備に様子を遠隔管理するリモートエンジニアとしてのワークスタイルが可能になっている(JNEWSについてトップページ
IoT工具が実現させるリモートエンジニアの働き方

JNEWS
JNEWS会員配信日 2020/8/25

 デスクワークだけではなく、現場作業が伴う分野のリモートワークを実現させるには、それぞれの職種に特化したデバイスの開発にも商機がある。

既に製造業の現場では、人為的な作業ミスの解消(ポカヨケ)を目的としたIoTセンサー付き工具の導入が進んでいる。東証二部上場の工具メーカー、京都機械工具(5966)では、IoT工具を次の主力商品と位置付けて、ボルトやナットの締め付け量をデジタルでリモート管理できるスマートデバイス「TORQULE(トルクル)」を商品化している。これは、市販のソケットレンチやドライバーに装着できるデバイスで、作業者がボルトを締め付けた数値をスマートフォンやタブレットに送信して、アプリ上でトルクデータの管理をすることができる。

たとえば、自動車の点検整備でTORQULE(トルクル)を活用すれば、各部品のボルト締め忘れや、規定のトルク値で締められているのかを、整備工場全体で可視化、共有できるようになり、作業員のミスによる事故を防ぐことができる。トルクルの実売価格は1個あたり約2万円で、ネット通販でも販売されているため、プロ整備士の他に、DIY整備をする一般ユーザーの中でも購入者が増えている。

TORQULE(トルクル)
■トルクルのデモ映像

 このようなIoT工具が普及してくると、すべての作業者が同じ工場の中で働かなくても、異なる場所で製品の組み立てや整備を行っている様子を、リモートで管理することも可能になる。経験の浅いエンジニアでも、リモートで管理者の指示を受けながら作業をして、その内容が正しいのかも遠隔からチェックすることができるようになる。

リモートエンジニアの形を実現させているのが、オーストリアに本社を置き、自動化された倉庫管理システムを開発するTGW logistics社である。同社は、世界のサプライチェーン企業に、無人で倉庫在庫の管理から注文された商品のピッキングができる物流システムを納入しているが、設備のサポート体制として「TGWEVOCALL」という、リモートカスタマーサポートの仕組みを構築している。

物流倉庫の技術担当者は、設備のメンテナンスやトラブルの解決をする際に、スマートグラス(カメラ付きのメガネデバイス)を装着してTGWのサポートにアクセスすると、TGW側のリモートサポート要員は、現場の映像を確認しながら、具体的な作業の方法を音声で伝えたり、タブレットの画面上に手順解説のマニュアルを表示させることができる。このリモートサポートは年中無休、24時間体制で対応するため、物流ラインがストップした際にも、復旧までの時間を最小限に抑えることが可能だ。

TGW logistics
■TGWリモートサポートの紹介映像

このように、スマートグラスとモバイル情報端末を組み合わせると、エンジニアの仕事も、リモートワークで行うことが現実的な姿として見えてくる。サポートを行う側の担当者もオフィスに毎日通勤する必要はなく、在宅勤務も可能なハイブリッド型の仕事になる。

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