地方に埋もれたリモートワーク都市と農村物件の収益化
国土が広い米国では、大都市までマイカーで日帰りができる圏内、または近隣にローカル空港があれば、往復のフライトが日帰りでできる郊外都市が、リモートワーカーのサテライトシティとして注目されており、大都市よりもテレワーク率が上昇している。
米国の生命保険会社「Haven Life」が米国国勢調査のデータを元に分析したレポート(2018年)によると、人口に対して在宅勤務者の割合が高いのは、州単位でみると、コロラド州、オレゴン州、バーモント州、ユタ州など、大都市圏から外れたローカル地域になっている。反対に、米国最大の都市圏であるニューヨーク州は全米で最も在宅勤務率が低い。
■Ten cities with the most remote workers
コロナ後のリモートワーク都市として、今後の不動産価値が高まると予測される地域の特徴は、ブルーカラー職よりも、ホワイトカラー専門職の人口比率が高く、大卒以上の学歴者にとって住みやすく、自然環境が豊かであること。かつ、住宅価格が大都市よりも割安感のあることが挙げられている。
これらの特徴を日本に当てはめると、全国の政令指定都市や県庁所在地、国立大学がある地方都市の周辺は、今後のリモートワーク都市として人気が上昇していく可能性がある。東京23区内と地方都市との平均家賃を比較すると、地方は4~5割安いが、新型コロナの緊急事態宣言が解除された6月以降は、中古の戸建住宅や売土地についての問い合わせが急増してきている。
2020年3月~5月にかけては、世界の観光産業が深刻な打撃を受けたが、唯一好調だったのが農村部で中長期の滞在ができる宿泊物件である。これは、大都市から田舎に避難する人達が増えたことによるもので、「City Escape(シティ・エスケープ)」と呼ばれる新マーケットが形成されている。
世界8万都市にある民泊物件の分析をする「AirDNA」は、コロナ禍でAirnbnbの予約状況がどのように変化したのかを調査している。Airnbnbに掲載されている米国内の物件を「大都市」「郊外」「農村部」の3カテゴリーに分類して、2020年3月の売上実績を調べたところでは、農村部の物件のみが前年同月比で大幅に増加した。これから半年間の見通しでも、大都市と郊外の宿泊件数が落ち込む一方で、農村物件はシティエスケープの需要により、好調が続くと予測している。
コロナ前には、Airnbnbの収益構成は、大都市の物件が全体の7割を占めていたことから、コロナ後には宿泊需要の大転換が起きたことを意味している。シティエスケープによる物件の宿泊日数は平均で8泊と、コロナ前よりも長期滞在の傾向があり、農村部で人との接触が少ない貸別荘物件は、1泊あたり200~250ドルの料金設定でも、1週間単位ですぐに予約が埋まってしまう。
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