働き方改革の中では、営業職のフリーランス化が進んでいる。保険業界や化粧品業界はその代表格で、特に女性の働き方として、固定の勤務体系に縛られない、完全歩合制のコミッションセールにチャレンジする人が増えている。
歩合給で稼ぐコミッションセールスの新ワークスタイル

JNEWS会員配信日 2018/8/4

 特別な資金や技能が無くても実行できる起業テーマとして手掛けやすいのは「営業セールス」の仕事だろう。たとえば、地方銀行の行員は中途退職した後の、潰しが効きにくい。もともと営業主体の仕事であったため、経理のプロとして通用するわけではないし、銀行時代の取引先から声がかかるのはラッキーなほうだが、零細企業が主体のため、大幅な年収ダウンは避けられない。

そうした元銀行員の再就職先として最も多いは保険業界である。1990年以降のバブル崩壊では、多くの銀行員がリストラの憂き目にあったが、その受け皿となったのが、当時、日本への進出を加速していた外資系の生命保険会社で、元銀行員を大量採用することによる営業部隊を形成していった。その雇用形態は、入社から1~3年は、月額10~30万円の基本給が払われる正社員の立場だが、以降は個人事業者となり、保険の契約高に応じて歩合給が支払われるフルコミッション営業へとシフトする。

もともと、銀行員は会社経営者を顧客対象としてきたため、その人脈を保険セールスにも活かすことができれば、年収1千万円以上を稼ぐことも可能だ。生命保険のコミッション報酬は、顧客が契約の初年度に払う保険料の30~50%、2年目以降からは5~8%、それに契約高の成績順位に応じたボーナスによって構成されている。

その反面、契約を獲得する実力がなければ辞めていくしかない、離職率は7~8割という厳しい世界であるが、今後も地方銀行の淘汰が加速していくことから、元銀行員の保険セールスマンは増えていくことが予測されている。

《銀行員からの保険会社転職ルート》

また、ワーキングマザーが、育児と仕事の時間配分を自分でコントロールでき、かつ、高収入を目指せる仕事の選択肢は多くないが、その中でチャレンジの道筋が用意されているのが、化粧品のセールスである。大手化粧品メーカーのPOLA(ポーラ)では、「ビューティーディレクター(旧ポーラレディ)」という委託方式の販売員を全国で46,000人以上組織化している。

化粧品の売上に対して約3割の成果報酬が支払われるコミッションセールスだが、月間の平均売上が150万円を超すと、ショップオーナーとして独立できるコースが用意されている。ショップオーナーは、自分のサロン店舗を持ち、自らの裁量でビューティーディレクターの人材育成をしたり、エステやカウンセリング型のサービスを提供しながら売上げを伸ばしていくことができる。化粧品の在庫は抱える必要が無いため、美容に関心ある女性にとっては、ローリスクな起業モデルといえる。

《POLAの委託販売モデル》

このようなコミッション報酬によるセールスネットワーク(販売代理店網)の構築は、企業にとっては、固定の人件費をかけずに販路を広げられるメリットがある。また、働き方改革の中では、雇用している営業社員に対して無理なノルマをかけることはNGとなるため、その代わりとして、委託方式によるコミッションセールスが増えるとみられている。そこでは強制的なノルマをかけるのではなく、個人の自主性を尊重しながらも、“売ることが得意な人材”のみが生き残れる生態系が形成されていく。

もともと、コミッションセールスの本場は米国であり、様々な商材が委託方式の成果報酬により販売されているが、近年ではセールスの手法が、飛び込み営業を主体とした「アウトバウンド型」から、マーケティングで集客する「インバウンド型」へとシフトしていることから、営業経験の無い個人でもセールスエージェントとして活躍できるようになってきている。

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JNEWS会員レポートの主な項目
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・コミッションセールスで販路を広げる医療機器業界
・フルコミッション人材の仲介ビジネス
・訪問営業から進化するセールスエージェントの起業モデル
・セールスエージェント方式によるセキュリティ専門家の起業
・テクノロジーが伸ばすセールスパフォーマンス
・独自の集客力で稼ぐフルコミッションワーカーの就労形態
・コミッションサロンの報酬システムとブースレンタルビジネス
・営業社員から在宅エージェントに移行する旅行業界の販売経路
・勤コストとストレスを解消したリモートワーク・カンパニー
・フリーへと転身するプロの営業職とセールスレップ業界の動向

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