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海外で成長する高級中古品専門の委託販売ビジネス

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JNEWS会員配信日 2022/11/3

 従来の中古小売業は、ユーザーから買い取りをして再販する方式が主流だが、高額品については、ユーザーから商品を預かって売却に成功した後、一定の手数料を徴収する委託販売方式のビジネスが成長している。小売業者にとっては、在庫リスクを抱えることが無く、ユーザーは「買い取り」よりも高く現金化できるため、両者にとってのメリットがある。

最近は、店舗からネットへと主力販路がシフトしているが、時計、ブランドバッグ、ヴィンテージギターなどの高額品は、個人が直接売るよりも、プロの業者を通して販売したほうが、買い手にとっては信頼できるため、中古eコマース市場の成長に伴い、委託販売へのニーズも高まっている。

高級品に限らず、米国では従来のリサイクルショップとは異なる、委託販売シップ(consignment store)の形態が成長している。断捨離ブームによって自宅に眠っている古着などを処分したい消費者は増えているが、米国のリサイクショップは非営利で運営されるケースが多く、不要品は「買い取り」ではなく「寄付」することが基本である。

しかし、少しでも不要品を収益化したいというニーズから、再販価値のあるものについては、委託ショップが60~90日の期限で商品を預かり、実店舗、eBayやEtsyなどを通して販売代行をする。売却に成功すれば、商品の品目や価格によって売上を50/50、 40/60、60/40などの条件で依頼者と売上を分配するサービス体系になっている。リセールショップの業界団体(NARTS)によると、この業態の新規出店数は年率7%で増えている。

米ニュージャージ州に店舗がある「DoubleTake」は、ファッション業界の小売業と卸売業でキャリアを積んだ女性が1992年に開業した委託ストアーとして成功している。店内には、有名ブランドの衣類、バッグ、靴、アクセサリーなどが高級ブティックのように陳列されており、ECサイトからの注文も受け付けている。

DoubleTake
■経営者と店舗の紹介映像

DoubleTakeが取り扱う委託商品は、新品同様またはダメージが最小限の中古品に限定しており、ブランド品が本物であることの鑑定をした後に、ECサイトやSNS用の写真撮影をして、店舗にも陳列する。販売価格の設定は、現在の市場相場からみた適正価格が決められる。大半のブランド品は2週間以内に売れてしまうが、売れ残った場合は、30日毎に25%ずつの値下げが行われる。ただし、売り主が値下げを希望しなければ、出品を取り止めて返品してもらうこともできる。

買い手が付いた売上金は、標準的な商品は委託者と店側で50/50の分配になるが、ハイエンドのブランドハンドバッグは60/40から70/30の間で決められる。さらに、エルメスのバーキンやケリー、シャネルのヴィンテージバッグのようにプレミア価値の高い商品については、80/20の分配率になる。

そのため、ファッションと投資を兼ねたブランド愛好者は、20~30%の委託手数料を意識した上で、自分のコレクションが値上がりした時に売却して、売買差益を得ることができる。反対に、ウクライナ危機のように、世界情勢の悪化で短期的にブランド相場が下落した時は、以前から欲しかったアイテムを手に入れる好機になる。

過去の再販相場をみると、エルメスのハンドバッグは10年間所有することで100%以上の上昇をしているが、コロナ禍では再販価格の上昇率が更に高くなった。
これは、ロックダウンによりエルメスの工場と正規販売店が休業したことで、商品の需給がひっ迫したことが原因とみられている。エルメスは正規ルートとして商品をネットでは販売しておらず、ネットで売られている商品はすべて再販品ということになり、その中で最も信頼できるのは、プロが鑑定した上で再販される委託販売ルートになっている。

《ブランド品委託販売の流れ》

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