ファッショントラックによる女性のローカル起業モデル
海外のローカルビジネスとしては、アパレル商品をトラックで移動販売する「ファッショントラック」で起業する女性も増えている。好立地のエリアに固定店舗を開業するのは多額の資金がかかるわりに、集客をして固定客として定着させるのにも苦労するという悩みから、移動店舗としてファッショントラックが10年程前から登場している。
厨房設備を備えた食品の移動販売車(フードトラック)よりも、ファッショントラックの開業資金は安く抑えることができ、来訪者が多いイベントや、SNSで繋がっている顧客(法人や団体を含む)が希望する場所まで出向くことができるため、ポップアップストアの新業態としても影響力を高めている。
カナダのバンクーバーを営業拠点としている「Vancouver Fashion Truck(VFT)」は、元歯科衛生士の女性が起業したファッショントラックで、カジュアルとモダンを組み合わせた雰囲気の婦人服を取り扱っている。同トラックの人気サービスとなっているのが、「プライベート・ショッピングパーティー」というコースで、女性のグループや、恋人への誕生日プレゼントとして服を贈りたいカップルの元に出張訪問をして、スタイリストがコーディネートしながら服の販売を行っている。
プライベート・ショッピングパーティーの利用は、公式サイト上から事前に日時を予約する必要があり、用意されている5つのコースから希望のプランを選択して申し込む。その中の「Work Hard, Shop Harder」というコースは、企業の職場に出張するコースで、同僚の女性8人以上が集まることが条件となっている。予約時には1人あたり50ドルの料金がオンライン決済されるが、これは訪問当日に服を購入した代金に充当される。そのため、VFTではショッピングパーティーの出張販売に出かけたものの、服が売れなくて赤字が生じるリスクが軽減できる。
他のファッショントラックでも、大規模なイベントへの出店に加えて、プライベートなパーティーへの出張販売は稼ぎ頭になっている。消費者の中では、通常の店舗では、他人の目が気になり、服選びの相談をすることができないという人もいて、スタイリストのコーディネートが受けられるファッショントラックは、新たな買い物スタイルとして支持されている。また、継続的に利用することで、自分が好きなデザインやサイズの服を事前に揃えて、訪問してくれるという付加価値もある。
ファッショントラックを利用する現在の顧客は、Instagramのユーザー層とも合致する20~30代の女性が中心だが、高齢者の中でもオシャレを楽しみたい女性は増えていることから、買い物に出かけにくくなったシニア向けの市場も、今後は開拓できる可能性がある。
大半のファッショントラックでは、ShopifyなどのECプラットフォームを利用したネットショップを併設しており、リピート客からのオンライン注文にも対応しており、販路のオムにチェネル化を実現させている。
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