外国人観光客向けクッキングスクールの新業態
旅行の楽しみには、現地の美味しい料理を食べられるレストランを訪れることがある。しかし、それだけでは本当に地元の食文化を学んだことにはならない。
そこで、旅行者をターゲットとした料理教室を運営しているのが、2009年にスペインで創業した「MIMO」という会社だ。同社は、スペインのサンセバスチャン、セビリア、マヨルカ島などの観光地にクッキングスタジオを開設している。
旅行者向けの料理教室は10名以内の小グループ制で、およそ半日の日程で行われる。プランの一例として、朝10時に集合をして、現地の生鮮市場で食材の買い出しをした後、クッキングスタジオでシェフの指導を受けながら、地元に伝わる伝統的な料理を参加者が協力しながら作る。昼過ぎには完成した料理を皆で食べながら、親睦を深めるというコース。参加料金は1人あたり、日本円に換算して15,000~24,000円と高価な設定だが、高級レストランに行くよりも深い体験ができるとして、参加者からの評判はとても高い。
旅行者の集客は、自社のWebサイトや旅行情報サイト「Trip advisor」のオンライン予約を通して行われているが、それ以外でも地元の住民を対象としたクッキングイベントも定期的に開催されている。
この料理教室には、地元の農業生産者やワイナリーも協賛して、食材や商品の納入を行っている。MIMOのクッキングスタジオは、料理教室でも利用する地元の名産品を販売する店舗としての役割も兼ねている。近年では、小売店に対する関心は薄れていても、実際に料理をしながら食文化を学べたり、新たな友達作りができることには興味を示す消費者は、少なからず存在している。そこで有意義な体験を提供すれば、関連商品の売上も伸ばすことができる。
その国や地域の伝統的な食文化を「料理教室」の形態で観光客に体験してもらうサービスは、日本でも応用することが可能で、飽和状態にある飲食業の差別化策としても有意義なものになる。
(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2018.7.9
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ
■この記事に関連したJNEWS会員向けバックナンバー
・団体爆買いツアーの次に訪れる個人旅行向けインバウンド市場
・日本の内需を引き上げるアジア旅行者の買い物意欲と購買特性
・新たな食体験を提供する新業態「フードコート」の収益構造
・漁師から飲食店への流通改革を仕掛けるフードテックビジネス
・eフードビジネスによる中小飲食店の生き残りと再生の方向性
※アクセスにはJNEWS会員ID、PASSWORDが必要です。
これは正式会員向けJNEWS LETTER(2018年7月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。