信頼できる育児用品ネット直販ビジネスの躍進と課題
JNEWS会員配信日 2018/3/23
消費者が信頼できる商品を求めるカテゴリーには「育児用品」も当てはまる。
育児中の親は、できるだけ安全な食品やヘルスケア用品を子どものために使いたいと考えているが、品質にこだわるほど価格は高くなってしまう。そこで、母親の目線から、信頼できる育児ブランドを立ち上げたのが、米カリフォルニア州で2011年に創業した「The Honest Company」という会社だ。
同社では、塩素や添加物を使わない低刺激性のおむつや、信頼できる有機農場から原料を調達して生産したオーガニックミルク、化学薬品や合成香料を使わない、赤ちゃん用のボディローションなどを独自に開発して、オンラインで直販している。中間流通を省いているため、大手メーカーの同等品よりも割安に提供することができる。
これらの育児用品は消耗品のため、定期購入が可能なサブスクリプションサービスが用意されているのが特徴である。たとえば、使い捨ておむつ(1パック40個セット)は、ワンタイムの購入では1パック13.95ドル(1枚あたり0.35ドル)の価格だが、定期購入の申込みをすると、一度に6パック(240枚)のおむつと、4パックのワイプ(お尻拭き:74枚)がバンドルされて、79.95ドルのセット価格になる。おむつとワイプの単価でみると、実質22%の割引になっている。
定期購入の頻度は、3週間・4週間・5週間・6週間の中から選ぶことができ、不要になれば自由にキャンセルすることが可能だ。同社の発表によると、売上の8割はサブスクリプションサービスによるものだ。安全な商品を求める母親達からの支持を受けて、2016年時点の売上は3億ドルにまで急成長して、商品アイテムも100種類以上に増やしている。
魅力的なオリジナル商品を開発して、ネット直販で流通させるD2Cブランドは、消費者からの人気に火が付くと、業績を伸ばしていくスピードが速い。しかし、販売量が増えるほど、高い品質を維持することが難しくなる欠点も併せ持っている。Honest社のオーガニック商品に対しては、複数の消費者団体が成分検査をしたところ、表示されていない化学成分が含まれていたとして、何件もの集団訴訟が起こされている。
信頼性や透明性をアピールする新興D2Cブランドの中でも、どこまでの情報開示をするのかは、各社によって方針が異なっている。製造委託をしている工場の国名までは開示しても、具体的な工場の所在地までは非公開としているケースもあり、ブランドの知名度が高まるにつれて、消費者側からはチェックの眼は厳しくなっている。
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