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個性と才能を伸ばす教育分野の新職種と 新たなスクール形態 |
written in 2011/8/19
米国は公立の学校でも、中流以上の家庭が集まる学校区では、教育現場の人材が豊富なことが特徴。それぞれの子どもに合った教育は法律で保障されおり、「IEP(Individualized Education Plan)」と呼ばれる個別指導計画を作成して、勉強ができる子、できない子への対応に加えて、障がいとは言わない程度でも、不得意なことがある子に対して、苦手を克服するための個別サポートがある。
私立に比べると、公立校では1対1の個別指導は難しいが、その場合でも、少人数(2〜3人)のグループ指導を行うのが一般的。
このように、きめ細かな教育を支えているのが、教員とは別にいる特別教育のスペシャリスト達の存在だ。たとえば、言葉に遅れがあったり、吃音(どもり)がある子どもに対しては、校内の「スピーチセラピスト」が対応しており、同じような症状を抱えている子で数人のグループを作り、週に1〜2回の指導を行っている。
また、極端に体の動きが不器用であったり、字をうまく書けない子どもには、「作業療法士」が対応する。校内の一部屋に平衡感覚を養うブランコのようなものや、大きなボールなどが用意してあり、ここでも週に1〜2度のトレーニングを行う。
その他にも、特定のものを怖がる子ども(例えば、雷がなると泣き出してしまい、授業に参加できない)や、感情のコントロールができない、先生の話に集中するのが難しいといった子どもを集めて、体操などを交えたカウンセリングを行うセラピスト(心理士)や、他国から移民してきたばかりで英語が話せない子どもに、英会話の指導をするバイリンガル講師などもいる。
公立の学校が、これら新種の教育スペシャリストを雇用するには、市や教育委員会に予算があることが重要だ。しかし、保護者からの要望も強いため、人材を確保しようとする動きは加速している。その中でも、スピーチセラピストは、今後の教育業界で特に需要の大きな職業と言われている。
日本では「言語聴覚士」という国家資格の保有者(約9千人)がそれに該当して、主に病院に勤務する形で、脳卒中による失語症などのリハビリを担当しているが、教育現場で採用されているケースは少ないのが実態だ。
しかし米国では、いわゆる「言葉がおそい子」を抱える親が、多少の費用はかかっても、専門家の指導を受けさせたいというニーズが高まっており、学校以外でも民間の業者が多数参入しはじめている。
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JNEWS LETTER 2011.8.19
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