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機械にできない気遣いをウリにした
オンライン秘書の専門職
written in 2006/3/23

 大企業を率いるエグゼクティブはもとより、成功した起業家とまではいかなくても、独立したての自営業者や一般のサラリーマンにとっても「時間が足りない」という悩みを抱えている人は多い。日常業務の中で定型の作業や雑用に縛られている時間の割合はとても高く、それを信頼できる“秘書”に任せることができれば、もっと仕事の能率は高まるはずである。

しかし「自分専属の秘書を雇う」というのは普通のビジネスマンにとっては高嶺の花で、上場企業の経営者でもなければ分不相応というのが一般的な価値観かもしれない。人材派遣会社から秘書を雇った場合には、毎月35万円前後の費用がかかるというのが相場だ。そこでもっと手軽なものとして留守中の電話対応のみを担当する“電話秘書”のようなサービスは以前から存在しているものの、それだけでは秘書本来の役割を果たすことはできない。

「秘書(セクレタリー)」とは、要職のある人の身の回りで機密の文書や事務を取扱うのが本来の役回りのため、雇い主(ボス)との人間的な信頼関係が築かれていなければ成立しない仕事だ。そこに機械的な秘書機能を提供するだけでは忙しいボスの心理的負担を軽減することはできないだろう。例えば、出張先のホテルを予約する場合にも、最近ではネットから簡単にオンライン申込をすることはできるが、ボスの行動日程や部屋の好みなどをしっかりと把握したうえで最適な部屋を手配するのと、単に機械的なオンライン予約をするのとでは雲泥の差がある。その点で生身の人間が専属で担当する秘書の存在価値が見直されている。

現実に欧米ではエグゼクティブ層に限らず、有能な秘書を自己の費用負担で付けるビジネスマンが増えている。そこには、会社との雇用関係がドライなものに変化していることから、社内の部下を秘書代わりにするのではなく、自分のプライベート秘書を雇うケースや、忙しくなったSOHOのスペシャリストが諸雑務を秘書に任せるケースも増えている。

プライベート秘書に任せたい仕事は様々だが、その大半はパソコンによるデスクワークで占められている。そのため、秘書は必ずしもボスのオフィスに毎日通うことはなく、ネットや電話転送機能などを駆使して遠隔からでも日々の仕事をこなすことが可能だ。このような新たな秘書サービスは、最近、日本でも普及しはじめているコンシェルジュサービスとも融合して、新たな市場を成しつつある。そこでは在宅型で秘書業務を専門に行うスペシャリストも登場している。
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この記事の核となる項目
 ●欧米における便利屋サービスの動向
 ●個人色を強めたパーソナルアシスタントの役割
 ●在宅秘書として期待されるバーチャルアシスタント(VA)
 ●不動産業者に的を絞ったVAサービスの動向
 ●不動産業界にみるプロフェッショナルとしての在宅ワーカーの仕事
 ●富裕高齢者層をターゲットにするコンシェルジュ・サービス
 ●雇用から委託契約型への変化で需要が拡大する家事代行業


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JNEWS LETTER 2006.3.23
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