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仕事と家庭との両立を目指す ワーク&ファミリー・バランスの動き |
written in 2005/4/5
現代の忙しいビジネスマンがライフスタイルを確立していく上で重要なのは、やはり仕事と家庭との比重をどのよう配分にしていくかという問題である。特に子育て期〜子供の就学期にある家庭では、夫と妻との双方がワーク・ファミリーバランスを考慮したライフスタイルを築いていくことが大切。現代では、女性も仕事を持つことが当然となっているため、夫の側でも仕事と家庭の配分に気を遣った生活スタイルを築く必要がある。このような価値観は、内閣府が推進する少子化対策の中でも謳われている。
少子化社会白書によれば、女性が理想の子供数を持たない理由の一つとして、「夫の家事・育児への協力が得られない」という多数回答を挙げている。育児については夫と妻との負担が同程度であることが理想だが、現実には子育て期にあたる男性(夫)の労働時間は、週60時間を超えているケースが全体の1/4以上を占めている。この過剰労働によって育児時間の分配を阻害しているという指摘だ。
これを解決するためには、企業側が各社員の仕事と家庭とのバランスが保てる柔軟な勤務体系(例:フレックスワークや在宅勤務制度)を作ることが求められる。米国では、1980年代から働く女性への需要が高まり、女性管理職が増えた1990年以降からは各企業がワーク・ライフバランスへの取り組みを本格的に始めている。その最終目標として掲げられているのは「従業員の私生活に配慮した雇用や人事評価制度への改革」である。わかりやすい例では、「深夜まで毎日残業する社員ほど労働意欲が高くて優秀」とする従来の評価を改めて、「仕事と家庭の両方を充実させている社員のほうが優秀」という評価を正しい価値観としている。
米国の企業経営者が利益至上主義への一辺倒から、ワーク・ライフバランスを重視する考えへと変化してきた背景には、M&Aやリストラ、ヘッドハンティングなどによって“会社と従業員の関係”が以前よりも希薄化している状況が挙げられる。成果と報酬のみで繋がっている雇用関係はとても脆い。いくら高額のボーナスを払ったとしても、さらに高額を提示するライバル社からスカウトされたなら簡単に翻ってしまうような殺伐とした人間関係ならば、それは会社にとって大きな損失である。
そこで企業が与える報酬として、従業員側が求めているのは“お金”以外に、個人としてのライフスタイルを充実できる就労体系や環境の選択肢を提供することに、経営者側がようやく気付きはじめた。
日本でも最近では「会社は誰のものか?」という議論が盛んだが、会社にとって従業員とその家族は“ファミリー”という位置付けで、彼らに快適なライフスタイルを提示できる企業では、各社員が会社に抱く信頼感や仕事に対するモチベーションが高まるはずである。
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JNEWS LETTER 2005.4.5
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