不動産セキュリティトークンによる賃貸マンション投資
これまで個人が不動産投資をする方法は、リスクを負ってアパートやマンションの一棟買いをするか、REITを購入するしかなかったが、2021年頃からは不動産セキュリティトークンを活用した投資案件が登場してきている。セキュリティトークンとは、ブロックチェーン上に財産の所有権を記録したデジタル有価証券のことを指し、小口の出資者を多数募って大型不動産を購入し、投資運用することは「不動産STO(不動産セキュリティ・トークン・オファリング)」と呼ばれている。
具体例として、不動産マネジメント会社のケネディクス株式会社は、国内初となる公募型不動産セキュリティトークン「ケネディクス・リアルティ・トークン渋谷神南」の販売を、2021年7月から開始した。
この投資商品は、東京都渋谷区に建設された賃貸マンション「KDXレジデンス渋谷神南(37戸)」の所有権を、1口あたり100万円、1,453口に分割して販売するもので、家賃収入に応じた分配金が支給される。
この物件は、既にマスターリース契約により満室となっており、年率で3.35~3.5%の利回りが予想されている。資金の返却は、約4年半後の計画で、その間にアセット・マネージャーがプラスのリターンを得られるように物件売却を目指し、出資額+売却益が口数に応じて償還される。つまり約4年半の間は、定期的な分配金の支払いを受けながら、物件の売却益も狙える。
物件に出資した投資家の権利は、三菱UFJ信託銀行が開発したセキュリティトークン「Progmat(プログマ)」のプラットフォーム上に記録、保全されるため、物件の管理運営会社が倒産しても、出資者としての財産権は守られる。そこがファンド会社への投資とは異なる点である。
一方、投資家のリスクは、物件に空室が出て家賃収入が減少した時には分配金の利回りが下がることと、不動産市況が悪化している中で物件が売却されると、元本割れが生じる可能性もあること。地震や台風などで物件が壊れた時にも物件の資産価値は毀損するリスクがある。
REIT(不動産投資信託)は、基準価格の変動が株式市場の影響を受けやすいのに対して、不動産STOは株式市場との相関性が低いため、株式以外の代替投資として使いやすい。ただし、分配金の利回りと売却益は、立地条件や物件の良し悪しによって決まるため、実際に物件周辺を見学して目利きをするような投資眼も必要になってくる。
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