デジタル本人確認を活用した非対面ビジネスの開発
これまで、銀行で新規の取引(預金口座の開設)をする際には、来店して身分証明書の提出をする必要があった。これは、犯罪組織のマネーロンダリングを防ぐ、犯罪収益移転防止法(犯収法)という法律に則った対応で、本人の氏名、住所、生年月日などがわかる公的証明書の確認をして、その記録(コピー等)を7年間保存することが義務付けられている。そのため、店舗を持たないネットバンクでも、本人確認の書類を郵送しないと、口座開設ができないことになっている。
しかし、2018年12月からは同法が改正されて、本人確認をオンラインで行うことも可能になった。これは「electronic Know Your Customer(eKYC)」と呼ばれる個人認証システムで、運転免許証などの身分証と、本人の容貌がわかる写真をスマートフォンで複数の角度からセルフ撮影して送信すると、身分証の顔写真と自動照合されて本人確認が完了する仕組みになっている。
eKYCと電子署名を組み合わせると、来店不要、ペーパレス、印鑑レスのサービスを実現できる。そのため2020年頃からは、銀行、証券会社、キャッシュレス決済業者などで、eKYCによるオンライン本人確認が急速に普及しはじめている。
■メルペイのeKYC本人確認(映像)
犯罪収益移転防止法では、顧客と取引を行う際に本人確認が必要な「特定業者」として、以下の12業種を上げている。これらの事業者は、一度は顧客の本人確認が必要なため、対面接客が基本になっているが、eKYCを利用すると非対面でも本人確認が可能となり、遠隔顧客向けのオンラインサービスを立ち上げやすくなる。
《顧客の本人確認が必要な特定業者》
- 金融機関(銀行、証券会社など)
- ファイナンスリース業者(物品のリース、レンタル業)
- クレジットカード事業者
- 宅地建物取引業者
- 宝石・貴金属等取扱事業者(古物商、質屋)
- 郵便物受取サービス業者(私設秘書箱)
- 電話転送サービス事業者
- 司法書士又、司法書士法人
- 公認会計士又、監査法人
- 税理士、税理士法人
- 弁護士、弁護士法人
■犯罪収益移転防止法の解説(総務省)
今のところ、eKYCによる本人確認システムの導入には数十万~数百万円の初期費用がかかるが、これから安価なクラウドシステムが普及してくると、中小の事業者でも、本人確認が必要な分野で多様なオンラインサービスを立ち上げられるようになる。
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