バーチャルキーで変わるマイカーの共同所有と収益化
自動車業界でも、鍵がデジタルに変わることで、大きな変化が生じようとしている。日本の法律では自動車の保安基準として、専用の鍵でエンジンの始動と施錠・解錠を行うことが義務付けられている。そのため、プッシュボタンでエンジン始動やドアの施錠が行える車両でも、必ず物理的な鍵は付属している。
しかし、2019年10月からはスマートフォンを自動車の鍵として利用することを認める規制緩和が行われた。それにより、複数のユーザーに対して車両のデジタルキーを付与することも可能になり、自動車の所有形態や利用方法も変化していくことが予測されている。スマートフォンを自動車の鍵として活用する技術の開発は、数年前から自動車メーカーやIoTデバイス企業が手掛けている。
これは「Phone As A Key」と呼ばれるテクノロジーで、ドライバーが所持するスマートフォンと車両とが無線接続されて、ドアの開閉やエンジンの始動が物理キー無しで行える。ただし、ドライバーにしてみると、スマートフォンのバッテリー切れなど、バーチャルキーには不安な要素もあるため、すべての車で標準採用されるわけではなく、新たな車の利用形態を求める人向けに普及していく、という見方がされている。
具体例として、ボルボが2017年から欧州と米国市場で立ち上げている、新たなオーナシッププログラム「Care by Volvo(ケア・バイ・ボルボ)」の中でバーチャルキーが採用されている。
このプログラムは、2年間のリース契約によるサブスクリプション型のビジネスモデルになっており、ユーザーは毎月の固定額を払うことで、税金、保険代、メンテナンス代などを気にすること無く、ボルボの新型車をマイカーにすることができる。バーチャルキーを利用すれば、友人や仲間と1台の車両を共有する、新たなオーナーシップも可能になる。
たとえば、コンパクトSUVモデルの「XC40」は、月額サブスクリプション料金が700ドルの設定だが、この車両を友人3人で共有するのであれば、1人あたりの負担額は233ドルとなるため、若者でもマイカーを取得することが容易になる。
さらに、オーナーが忙しい時でも、給油や洗車を外部の業者に任せたり、eコマースサイトで購入した商品を、車の中に配達してもらうことで、宅配ボックスの代わりとして活用することも、バーチャルキーであれば可能になる。ケア・バイ・ボルボの目的は、単に自動車を売るのではなく、バーチャルキーの車両を通して多様な生活支援サービスまでを提供すること(クルマのサービス化)にある。
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