人工知能で進化する投資判断アルゴリズムとAIファンド
株式市場で普及しているの自動売買システムは、株価の値動きに対して定量分析を行うのが基本だが、近年では、世界で起きているニュースを人工知能がリアルタイムで分析して投資判断するアルゴリズムが、相場に大きな影響を与え始めている。
2013年にハーバード大学の博士が創業したKensho Technologies社は、金融や財務情報の自然言語分析を専門にしたAIベンチャーで、同社が構築するデータベースには、企業の財務情報、各国の経済指標、政治動向、地政学、自然災害、テクノロジーの開発動向など、数百万ページ分に及ぶ膨大な公開情報が蓄積されており、複雑な質問に対しても、人工知能が情報を分析した回答を返すことができる。
たとえば、「新型インフルエンザが流行した時に最も高収益が期待できる製薬会社はどこか?」、「米国と北朝鮮の平和条約が締結された時、軍需企業に与える影響は?」など、これまでは複数のアナリストが数日かけて行ってきたリサーチ業務を、わずか数秒で完結させることができる。このシステムをアルゴリズム取引と連動させれば、世界で重要ニュースが報じられると同時に、最も関連性の高い銘柄に売り買いの注文を出すことができる。
さらに、Kenshoでは、「バイオテクノロジー」「宇宙開発」「ロボット工学」「グリーンパワー」「サイバーセキュリティ」など、成長産業のカテゴリー別に関連性の高い企業を選定した株価指数(インデックス)の作成も行ってる。証券会社では、この指数の供給を受けることで、各成長産業のインデックスファンドを組成することができる。専門性の高いファンドマネージャーに頼る必要が無いため、手数料を安く設定できるのが特徴だ。
日本で三菱UFJ国際投信が販売する投資信託の「eMAXIS Neo」はその1つで、購入時の手数料はゼロ、年間の信託報酬は0.72%(税別)となっている。
※出所:eMAXIS Neo 販売用資料
Kensho社に対しては、投資銀行のゴールドマンサックスが創業時に1,500万ドルの出資をして開発をサポートしてきたが、2018年3月には、株式や債券の世界的な格付け機関「S&P グローバル」が5.5億ドルで買収している。世界の金融機関では、これから人工知能に対して積極的な投資を行い、ローコストで高い利回りが期待できるファンドを次々と組成していくとが予測されている。
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