3K労働を知的労働に変える自動運転農業トラクター
自動車の自動運転は、各メーカーが新型車に初期レベルの機能を導入しはじめているが、5Gによる高速モバイル通信を利用すると、周囲の車両と相互に走行データを共有することで、自動運転の安全性を飛躍的に高めることができる。これは「Car-to-X」と呼ばれるテクノロジーで、近いうちには、車車間の通信機器をすべての車が搭載することが義務付けられる見通しだ。
自動運転の進化は、レベル1~5までの段階で示されているが、レベル3以上では運転に対する監視や対応の主体が、運転者(人間)からシステムに代わることになる。現状ではレベル2の自動運転が普及してきているが、2020年頃からはレベル3の自動運転車が続々と登場してくることになる。
さらに、自動運転技術の先にあるのは、車内にドライバーが乗らずに、リモート監視により自動運転を行うシステムで、これが実用化すると、運送業界のトライバー不足も解消できる。
国土交通省のデータによると、国内のトラックドライバーは、40代~50代前半が44%を占めており、20代~30代からは不人気の仕事になっている。勤務が過酷なわりに給料が低いことが理由だが、自動運転のテクノロジーはトラックドライバーの仕事を“知的労働”に変えて、1運行あたりの採算性を高められる可能性がある。巷で言われている「自動運転はドライバーの仕事を奪う」という視点だけでは、新たなビジネスチャンスは見えてこない。
《自動運転レベルの定義》
- レベル1(運転支援)
システムが(アクセス、ブレーキ)(ハンドル操作)いずれかの制御を行う - レベル2(部分運転自動化)
システムが(アクセス、ブレーキ)(ハンドル操作)両方の制御を行う - レベル3(条件付き自動運転)
限定領域でシステムが自動運転を行う(困難な状況では運転者が対応) - レベル4(高度自動運転)
限定領域でシステムがすべての自動運転を行う - レベル5(完全自動運転)
すべての領域でシステムが自動運転をする
自動車よりも無人運転の実用化が進んでいるのが、農作業ロボットの分野である。日本の農機メーカー「クボタ」が 2017年5月に発売を開始した「アグリロボトラクタ」は、無人で自動運転ができる農業用トラクターで、リモコンからの遠隔指示により、田畑の耕うん作業を行うことができる。作業をするエリアを指定するだけで、GPS機能によって農地の形状に合ったルートを自動検出してトラクターが自動操縦される。
アグリロボトラクタの価格はおよそ 1,000万円だが、労力が足りない地方の農家にとっては、無人トラクターを導入することで作付面積を広げて、収入の拡大を目指すことができる。農水省の統計によれば、国内の農業就業人口は、2010年には260万人だったのが、2017年には181万人にまで減少している。平均年齢も66歳と高齢で、農地を貸したいという希望も多いことから、新規の農業参入者にとってはビジネスチャンスといえる。ここでも、農業を知的労働に変える視点が成功の糸口になる。
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