中国が描くAIテクノロジー社会の輪郭とヘルスケア事業
人工知能(AI)の開発においても、中国は世界をリードしてきている。中国政府が2017年7月に発表した「次世代人工知能(AI)発展計画」によれば、2030年までにAI技術を世界最先端の水準に引き上げ、2020年までに1兆元(約17兆円)、2025年までに5兆元(約85兆円)、2030年までに30兆元(約510兆円)の関連産業を創出することを目指している。具体的には以下の製品開発に国家プロジェクトとして力を注ぐとしている。
《中国が重点を置くAI製品分野》
- ネットワーク接続型の自動車、自動運転プラットフォーム
- サービスロボット
- 遠隔操作の無人航空機(ドローン、ヘリコプター等)
- 医療用画像診断システム
- カメラ映像による身分識別、顔認識システム
- スマート音声通話システム
- スマート翻訳システム
- スマート家電
中国政府は、各分野のAI開発をリードする企業を「人工知能プラットフォームリスト」に選定し、中国政府が保有するビッグデータを開放してAIシステムの開発を支援する。さらに、中小のシステム開発業者にもプラットフォームを公開して、自社の製品にAI機能を組み込める仕組みを構築しようとしている。
具体例として、医療画像診断分野のプラットフォームリストに選定されている騰訊公司(テンセント社)は、「テンセント覓影」という画像診断システムを開発している。この装置は、ファイバースコープやCTで撮影した疾患の映像から、人工知能が食道癌や肺癌を早期発見できるもので、その精度は90%以上に達している。
機械学習するデータ量が増えれば、さらに判定精度を高めていくことができるため、中国政府が国家プロジェクトとして支援することにより、画像診断システムの成長に拍車をかけることができる。
中国の癌患者数は世界一で、肺癌の患者数をみても世界の35%を占めている。中国の医療費は高いため、十分な治療を受けられずに亡くなる人は多く、肺癌の死亡率は米国が33%に対して、中国は70%となっている。つまり、中国政府のハイテク医療への積極的な投資は、“医療後進国”としての遅れを挽回する意図がある。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
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