ナノ学位と次世代eラーニングによる人材育成ビジネス
JNEWS会員配信日 2018/1/28
オープンオンライン教育(MOOC)プラットフォームの中でも、より就職や転職に役立つカリキュラムを提供することにシフトしているのが「Udacity」である。
2014年から同社は、ハイテク業界で需要が高い仕事に特化したオンライン教育コースを「Nano degree(ナノ学位)プログラム」として立ち上げている。ナノ学位とは、大学で発行される学位よりも、短期間で取得できるUdacity独自の資格認定制度である。
具体的なカリキュラムは、グーグル、アマゾン、AT&Tなど、実際のハイテク企業の現場から提供されているため、就職・転職に役立つトレーニングになることは間違いない。これらのナノ学位プログラムは、月額 200ドルの有料サブスクリプション制で、1つのコースは長くても12ヶ月以内に学習が終えられるようにカリキュラムが組まれている。
たとえば、グーグルが提供している「Android Basics(アンドロイド基礎)」は、プログラミングの初心者が Androidアプリの開発方法を学べるコースで、週10時間の学習×4ヶ月で修了できるように設計されている。さらに、プログラミング中級者に向けては、「Androidデベロッパー」という8ヶ月の上位コースがあり、こちらを修了すると、該当レベルのプログラマーを募集している会社のリストが表示される。そこで採用される推定年収は7.2万~13.3万ドル(790~1460万円)となっている。
また、「Self-Driving Car career」は、自動車メーカーのメルセデスベンツと人工知能の車載プラットフォームを開発するNVIDIA社からカリキュラムが提供されている、自動運転のテクノロジーを学ぶためのコースだ。自動運転車がどのように機能しているのかを、「第1期:映像認識とディープランニング」、「第2期:各種センサーからのデータ解析」「第3期:目的地への最適な経路を導くパスプランニング」という3期に分けて学ぶことができる。1期あたりの受講期間は15時間/週の学習で3ヶ月、3期すべてを修了するのに9ヶ月かかる。受講料金は1期あたり800ドルの設定。
自動運転の技術については、大学でも専門の学部を設置しているところがまだ少なく、Udacityのコースは最先端といえる。このコースの修了者は、メルセデスベンツとNVIDIAの他に、BMWや UBERなど採用パートナーとして名乗りを上げている企業へ就職できるチャンスがある。
Udacityの見解によると、オンライン学習は無料で受講できるものよりも、有料で受講するコースのほうが、最後まで到達する履修率は高くなる特性がある。ナノ学位コースには、Web開発、iOSまたはAndroidのアプリ開発、ドローン、ロボットソフトウエア、VR(仮想現実)開発などのコースがあり、難易度は高いが、パートナー企業との提携により、大学の講義よりも実践的な内容になっている。
ナノ学位の取得によって、就職先が見つける保証がされているわけではないが、学んだ知識が無駄になることはなく、ハイテク業界の現場でリアルに求められている職能技術の習得方法としては革新的なものである。
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