ブロックチェーンによる美術品の分散所有システム
JNEWS会員配信日 2018/1/4
美術品の売買取引は世界で年間7兆円の市場規模があると推定されている。有名作家の絵画や宝飾品などは希少で、投資対象としても有望視されている。しかし、1作品あたりの価格は数千万~数億円以上と高額なため、購入できるコレクターは一部の超富裕層に限られた閉鎖的な市場である。
そこにイノベーションを起こそうとしているのが、「Maecenas」という美術品を専門にした取引プラットフォームである。ピカソ、モネ、シャガールなど有名作品の所有者が「Maecenas」に出品をすると、その鑑定記録と所有権がブロックチェーン上に登記される。さらに、その所有権を小口に分割して個人投資家にオークション方式で売り出すことができる。この小口所有権は、株式のように市場相場で二次売買することが可能なため、大口の資金が無い個人投資家でも美術品マーケットでの投資を行うことができる。
「Maecenas」の役割は、美術品の所有者になるのではなく、作品の売り手(出品者)と、小口に分散された複数の買い手との直接取引ができる新たなマーケットを運営することにある。出品者からは売買金額の6%、落札者からは2%の手数料を受け取る。また、落札された小口権利が二次売買される際にも、手数料を徴収する収益モデルになっている。また、小口権利化された作品は、Maecenasが契約する美術専門の保管施設で厳重に管理されるため、実物の美術資産が別ルートで売却されてしまうリスクも無い。
この仕組みを利用すれば、美術品コレクターは作品の所有権をすべて売却しなくても、一部の所有権を30口、100口というように小口に分割して販売、そこで得た資金を、次の作品を買い付けるために回すことができる。このようにして、美術品投資に関わる資金の循環が活発になれば、美術品市場全体の価値を押し上げる効果が期待できる。
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