仮想通貨イーサリアムを利用したスマート保険の仕組み
JNEWS会員配信日 2018/1/4
従来の商取引は、顧客と業者との間で、注文書や契約書を交わした上で、商品やサービスを提供している。その後にトラブルが生じれば、契約書面に書かれた条件に基づいて、返品・返金や修理の対応を行う流れになる。こうした面倒な手続きも、仮想通貨によって変えていくことができる。
「Ethereum(イーサリアム)」は、資金の決済機能に加えて、取引の契約内容までをブロックチェーンに記録して、契約の条件確認や履行までを自動で行える「スマートコントラクト機能」を備えた仮想通貨として注目されている。
具体的な活用例として、フランスの保険会社 AXA(アクサ)では、「fizzy」という航空機遅延保険を 2017年9月に立ち上げている。この保険は、fizzyの公式サイト上で、搭乗する飛行機のチケット番号と氏名を入力するだけで、手続きが完了する。保険の契約内容(保険料金、補償額、航空機の到着予定時刻、補償が行われる条件など)は、イーサリアムのブロックチェーン上に記録されて、紙面による契約書は発行されない。
保険料の設定は、独自のアルゴリズムにより、飛行機の各便が遅延するリスクが分析された上で算定される。保険契約後に搭乗した飛行機が、実際に2時間以上遅れた場合には、規定の補償額が支払われる通知が自動的に電子メールで送信される。
従来の保険契約では、契約の条件と、その内容に同意したことを示すサインを書面で記録として残す必要がある。しかし、イーサリアムでは改ざん不可能な状態で契約内容をブロックチェーン上に記録して、申し込みから保険履行までの手続きを自動化することができるのだ。
このように、仮想通貨に組み込まれたスマートコントラクト機能による保険契約は「スマート保険(Smart Insurance)」と呼ばれて、1日単位の自動車保険や、LinkedInのプロフィール情報とリンクさせた失業保険なども開発されるようになってきている。この仕組みが進化すれば、大手の保険会社に限らず、特定のグループや集団内で、容易にPeer to Peer型の保険契約ができるようになる。これは、保険契約が身近な投資対象になることを示唆している。
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