日本のEV向け充電ステーションは、大半が公的補助金によって設置されているため、独立採算で黒字化させようとする意識が薄い。米国では、企業の駐車場や賃貸物件のオーナーが充電ステーションの設置により収益化できるビジネスモデルが練られている。
充電ステーションを起点としたEV市場への参入スタイル

JNEWS会員配信日 2017/9/27

 電気自動車(EV)の時代には、高い確率でガソリンスタンドのような燃料補給の専用施設は消滅する。その代わりとして、スーパーやレストランなどの駐車場に充電スポットが設けられて、利用者は買い物や食事をしながら充電をするスタイルが主流になる。しかし、各店舗が独自に充電スポットを設置することは、電力会社との有利な契約や、充電サービスの管理(無料+有料課金)が難しいため、今後は充電スポットによる事業者の系列化が進むことになるだろう。

日本国内では、既に21,000ヶ所(28,000基)の充電スポットが存在しているが、その大半は国の補助金を活用したもので、サービスの充実や利用者を増やそうとする意識は低い。


一方、米国では、利用者や事業者の視点に立ち、採算性も考慮された充電スポットのネットワーク化が進められている。2007年に米カリフォルニアで創業した「ChargePoint」は、公共施設、商業施設、賃貸不動産のオーナーを対象に充電スポットの整備を進めている新興企業だが、特許を取得した独自の充電設備と、利用会員を管理するクラウドシステムの両方を開発している。現在では米国とカナダで4万ヶ所以上の充電スポットが整備されている。

充電設備の設置は、「販売」と「レンタル」両方のプランが用意されている。レンタルでは、実際に利用者が充電をした従量によって設備の利用料が請求されるため、初期投資をかけずに充電設備を導入することができる。たとえば、アパートの駐車場に充電設備を導入すれば、物件の付加価値を高められるが、初期コストがかかるため躊躇している大家は多い。

充電料金を決める裁量は、物件オーナー側に与えられていて、電気を無料で提供することや、曜日や時間帯によって料金を変動させることもできる。また、利用できるユーザーの条件を設定することも可能だ。

一方、EVドライバーはChargePointのモバイルアプリをインストールすることで、賢いEVライフを送ることができる。アプリではネットワーク化されている充電ステーションの中から、価格条件を「Free」で検索すれば、無料で充電できる最寄りのスポットを見つけられる。また、充電待ちで混雑しているスポットでは、待機リストに登録して、順番待ちの時間を無駄にしなくて済む。充電中に異常が発生したり、正常に充電が完了すれば通知メッセージがスマホに届く機能もあるため、買い物や食事をしていても安心だ。

ChargePoint
■サービスの紹介映像

ChargePointでは、キャデラック、シボレー、BMW、日産、フィアットなど大手自動車メーカーとも提携関係を結んでおり、北米だけで数十万ヶ所の充電ステーションをネットワーク化しようとしている。同社の事業には、「独自技術による充電設備の開発」「電力会社から好条件の電気を調達すること」「モバイルアプリでEVユーザーを組織化」「EV充電の特性を掴むビッグデータ分析」という4つの柱がある。

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