ブロックチェーンによるダイヤモンド取引の登記システム
JNEWS会員配信日 2016/8/26
「土地」が資産として認められているのは、国の法務局によって所有者の名前が登記されているためだ。その記録台帳(登記簿謄本)を元にして、土地の売買はされているから、詐欺などのトラブルが起きにくく、銀行融資の担保として活用されている。
それと同様に、売買の履歴や所有者の情報を信頼性の高い台帳として記録できれば、資産価値を高められる物品は多い。たとえば、ダイヤモンドは高価な貴金属だが、取引の過程では、以前の所有歴を確認することができず、偽物も混じりやすいため、二次的な流通価値は低くなってしまう。
世界のダイヤモンド市場では、鑑定業者が石のグレードを査定することで価値が決められて、鑑定書を添付する形で売買が行われてきたが、紙の鑑定書は改ざんすることが容易であり、実際にはグレードの低い石に、偽物の鑑定書を添付して高額で販売するようなケースが後を絶たない。ダイヤモンドの不正取引による被害は、年間で20億ドル(約2,000億円)の規模とみられている。
そこに着目したのが、2015年に英国で創業した「Everledger」という新興企業である。同社は、ダイヤモンドの石にある固有の特徴(数十ヶ所の基準点を計測した形状データ、色、カット、透明度、カラットなど)をデータ化したものをDNAレコードとして作成し、それにシリアル番号と所有者の情報を加えたブロックチェーン台帳を作成している。
これにより、個々のダイヤモンドを識別することが可能となり、その石がどのように売買されてきたかという履歴もブロックチェーンから確認できるため、不正な売買取引を防ぐことができる。宝石販売店は購入者の名前をブロックチェーンに記録することで、もしも盗まれた時には、他の宝石店やネットで盗品が販売されているのを発見しやすくなる。
Everledgerでは、このブロックチェーン台帳にアクセスできるAPIプログラムを、有料で提供することをビジネスにしようとしている。最も関心を示しているのは保険会社で、ブロックチェーンからダイヤモンドの識別と所有者を確認できれば、盗難に対する保険金の支払い負担を軽減できると期待している。また、eBayやアマゾンなどのECプラットフォームがAPIを組み込めば、盗品のダイヤが出品、換金されるのを防ぐことができる。
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