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written in 2005/1/29
自分の「老後」について具体的なプランが立てられている人は少ない。平均寿命は伸びていく一方で、従来の年金制度は崩壊しつつある現実を踏まえると、特に“お金”の問題については、30代、40代の時期から老後を意識した第二の収入プランを考えておく必要がある。
自分が65歳を過ぎてから、どれだけの年金が支給されるのかは、加入している年金の種類や、加入年数、現役時代の平均給与額によっても異なるが、社会保険庁のサイトではその見込み額を試算することができる。現在の平均的なサラリーマン世帯では老後に月額23〜29万円程度の年金支給があるが、その額が今後は大幅に目減りしていく。また国民年金にしか加入していない自営業の世帯ならば、月にわずか12万円程の支給しかない。
一方、老後を暮らすのに必要な月々の最低日常生活費は、夫婦二人で23万円程度と言われている。さらに、趣味や旅行などを自由に楽しめる豊かな老後を送ろうとするのなら月に40万円程度の生活費が必要になる。
日本の高度成長期を支えてきた「団塊の世代(昭和22年〜昭和24年生まれ)」が間もなく60代を迎えるようになれば、日本でもいよいよ“定年後の生き方”が本格的にクローズアップされるようになるが、定年後も豊かな生活を送るためには、年金のみに頼らない新たな収入源の確保が必要になってくる。その道を目指したシニア起業が今後は増えてくることが予測できるが、その成功法則は従来の起業ノウハウとは異なるものだ。
一般的な起業とは異なるシニア起業の正しい狙い方
現在の60歳といえば、体力的にはまだまだ働ける世代である。そこで会社を定年した後の(新たな挑戦+生き甲斐)として何か商売を始めたいと考える人が増えている。このような人生第二の独立は「シニア起業」とも呼ばれる。ただしそこには落とし穴も潜んでいる。
定年によって得た二千万円近くの退職金が懐にあれば開業資金には余裕がある。シニア起業者の多くは、退職金を元手に何かビジネスを…と考えるが、自分がこれから働ける(働きたい)年数を考慮すると、あまり大きな資金を投下してもそれを回収するまでに時間がかかりすぎれば、起業するメリットは少ない。またシニア起業者の虎の子をエサにした悪質なフランチャイズや代理店ビジネスも横行していることから、60歳以降の起業を成功させるには、かなり明確な事業コンセプトと収益ブランを自分の中に意識しておく必要がある。
《収益ブランにみる若年起業とシニア起業の違い》
起業をするにしても若年層とシニア層とでは、理想となる事業計画には大きな違いがある。40年間近くのサラリーマン生活を経て、60歳以降で自分のビジネスをスタートさせる場合の収益プランでは、これまでの貯金(退職金を含む)と、これから支給される予定の年金を生活費のベースとして、その上でさらに必要と想定されるだけのの事業収入を起業によって得ようと考えることが妥当だ。
自分が“豊かな老後”を過ごすための生活費を月40万円と仮定して、支給が見込まれる年金が月22万円なら、その差額となる18万円の収入を何らかの事業によって毎月継続的に稼ごうとすることが見本例と言える。20〜30代の若年起業では“若さ”を担保に、多少無理な借り入れや人件費を使って事業を大きくすることに邁進するが、シニア起業家になると身の丈以上の成功よりも「自分のやりたいことを追求しながら安定収入を得る」ことへの関心が高くなる傾向が強い。
●年金と事業収入とを組み合わせた老後の収益プラン(例)

※実際の計画では事業収入を得ることで年金の支給額は変動することに留意する必要がある。
これから将来にかけて年金支給額が目減りしていくことを踏まえれば、月々の生活に支障のないだけの(ゆとりある生活費−年金支給額)分を稼ぐことを目的としたシニア起業が求められるようになるだろう。
月に十〜二十数万円程度の事業収入には手が届きやすいとしても、シニア起業の成功にはさらに深い急所が潜んでいる。それは体力任せで元気な時期だけ働いて稼ぐのではなく、自分の労力は最小限に抑えながらも、できる限り永続的に収入が入ってくる道を築くことである。自分が動けなくなっても継続的な収益を得られる事業がシニア起業家にとっての理想。
ただし定年を迎えてからいざ起業しようとしても間に合わないこともある。そこで、早ければ30代からでも、老後の人生設計として定年後起業の準備をしておきたい。ではどんな事業が考えられるか、海外の例をみてみよう。
経験と知識を商品化して売る
シニアの最大の商品力は、長年の社会生活で培った知識と経験にあるといえる。専門的な仕事に従事してきた人ならば、自分が現役時代に蓄積してきた知識を商品化してしまえばよい。その具体的な方法としては、執筆した原稿を書籍として出版(電子出版を含む)したり、映像コンテンツとしてDVDに収録して販売することが思いつく。
ベビーブーマー世代が定年になる時期を迎えようとしている米国も、現役を退いた後の生活設計への関心が高まっている。そこで、先に定年を迎えた先輩として自分の体験から得た前向きな考え方やノウハウなどを本に著す人も少なくない。例を挙げれば、HowardとMarika Stone夫妻(62歳)は、定年後に起業や再就職、あるいはボランティアに従事するためのハウツーとガイダンスを示す「Too Youngto Retire: 101 Ways to Start the Rest of Your Life」を出版している。
夫妻共に現役時代は出版関係の仕事に従事していたが、引退した後は夫のHoward氏がライフコーチ、妻のMarika氏はヨガのインストラクターとしてそれぞれ活動している。現在はその労働報酬と本の印税が夫妻の収入だ。サイトも開設していて情報提供と本の宣伝を行っているため、将来コーチやインストラクターの仕事ができなくなっても、継続的な収入が確保できる算段である。
■To young to retire
ただし Stone夫妻自身は、“引退するという考えを「引退」させて”(いつまでも現役と考えようという意味)、定年後もできる限り働くことを信条としている。インストラクターとしての仕事で自分の若さと体力を維持しつつ、本やDVDの販売によって不労所得を得るという方法は賢明と言えるだろう。
クリエイターとしての知的商品を販売する
現役時代にはできなかったことを定年後に事業化する例も少なくない。Beth Allen氏は、前夫と共に広告代理店会社を経営して、大口顧客とも取引をして年150万ドルの売上を達成していた。しかし離婚によって引退を余儀なくさせられる。むろん優雅なリゾート暮らしをするには程遠い状況で、老後を生きぬくためには何らかの事業を行う必要があった。そこで経営者だった頃にも書いていたイラストを、カスタムメイドのギフト(カップなどに印刷したりフレームに入れたりする)としてオンライン販売することを決めた。まったくのパソコン初心者だったが、画像作成ソフトの使い方も習得し、新しい夫の協力によってオンラインショップを制作し、Beth氏が初めて祖母になった日に営業が開始された。
■Create My Gift
日本でも似顔絵を顧客からの依頼によってカスタムメイドするオンラインショップが人気だが、既製の商品を他社から仕入れるのではなく、自分の作品を商品として販売できるショップは手堅く稼ぐことができる。手作業による制作のため売上高でいえば繁盛店でも月商 100万円を超えるのが難しい水準だが、材料にかかる原価率は低く、不良在庫を抱えるリスクもないため、この商売で“損”をする確率は少なく、売上の大半は自分の収入とすることができるのが利点だ。
最近では自前のオンラインショップを立ち上げなくとも、自分が制作した手工品をネットオークション上で出品販売することで月十万円程度の副収入を得る人も増えてきている。
文筆家としての起業とライフスタイル
定年後は小説家やエッセイストなどの執筆生活を送ることに憧れを持つ人は多い。しかし自分には文章を書く才能がないと諦めがちだろう。そんな人でもKarenBlue氏のケースを聞けば、チャレンジしたくなるかもしれない。
Blue氏は、競争激しいシリコンバレーのIT企業でマーケテイングコンサルタントとして実績を積んでいた。しかし51歳にしてすでに自分が“燃え尽きて”しまったことを自覚する。成功者の夢の引退生活どころではなかった時、ふと目にした雑誌が人生を変えた。
Blue氏は海外で暮らすことについて書かれた記事を読み、メキシコで生活することを決める。そこでは二度と“パンティストッキングを履かない(勤め人をしないという意味)”ことを目標として、文章教室に通って執筆について情熱的に学ぶことを選択した。そしてメキシコのオンラインマガジン上で5年間、“脱サラ生活”について綴ったコラムを毎月投稿し、2年後には本としての出版にこぎつけた。その後、自分が住んでいる地域の生情報を提供する有料制(年額 39.95ドル)のオンラインマガジン「Living at Lake Chapala」を友人と共に立ち上げている。
■Living at Lake Chapala
現在のBlue氏は、同誌のゲストライターとして、月80時間を執筆に費やす生活を送っている。米国ではBlue氏のように、定年後に小説家や劇作家、ハウツー本の出版を手がける退職者は多い。多くは紙媒体だが、Webサイトや電子出版(オンデマンド出版)を利用する人も出てきている。
Ruth Halcomb氏はもともと作家だったが、一時期は株式仲介とファイナンシャルプランナーとして活動した後、再び作家に戻った経歴を持つ。60歳を超えた今は、自ら開設したオンラインコミュニティサイト「Network for Living Abroad」が生活の中心だ。このサイトは、Blue氏のような米国外での暮らしを希望する米国人を対象に、海外生活のためのガイド情報を提供するコミュニティサイト。メインコンテンツが掲示板であることと、広告収入があるということで、少ない労力での収入源を確保している。現在の Halcomb氏は印刷版のニューズレター発行にも携わっている。
■Network for Living Abroad
長年の趣味を実益に変える博物館の経営
現役時代からの趣味を定年後に開花させたいという夢もまた、定年後起業のタネになる。コレクターならば、収集したコレクションを展示する博物館を開設したいと思うだろう。そこからの収入を定年後の生活の一助とすることも期待される。
ブラジル生まれの米国人であるEugenia Mitchell氏はキルト(スコットランドの民族衣装)のコレクターで、そのコレクションを博物館にして公開することを夢見ていた。1981年(Mitchell氏が78歳の時)から友人たちと博物館開設の資金を集めて、1990年に夢を実現させた。入場料は大人4ドルで、おみやげ店もある。創設者のMitchell氏はすでに100歳に達しているが、現在もナーシングホームで元気に暮らしているという。
■Rocky Mountain Quilt Museum
同じような私設博物館として、男性ならば鉄道模型のコレクションを博物館とすることの方が身近に感じるだろう。英国のChristopher Littledale氏も1990年に「The Brighton Toy and Model Museum」という博物館を立ち上げて自分の夢を実現した。
■The Brighton Toy and Model Museum
ただし、こういった博物館を維持していくためには後援者の存在が欠かせず、会員制度やパートナーシップが設定されていることが一般的。キルト博物館でも年額30ドル〜の会員制度を設けて支援者を募っている。博物館経営はNPO(非営利法人)の起業に等しいと考えておいた方がよいだろう。また、現役時代に事業で成功を収めた資産家になると、節税対策の目的で自分が収集したコレクション用の博物館を経営することもある。コレクションの所有権は博物館へと移るが、自分が博物館のオーナーならば“自分のコレクション”であることに変りはない。
非営利法人を起業することで考える収益プラン
日本でも定年後の身の処し方の一つとして、社会貢献活動に携わることがよく聞かれるようになっている。ただそれを、無償のボランティア活動として行なうよりも、NPO法人として起業することのほうが有意義である。自分が立ち上げたNPO団体を収益化して、そこから月々の報酬(給料)を得ることも歴としたシニア起業の一つと言えるだろう。
海軍士官だったRichard Koca氏は、退役後をホームレスチルドレンやストリートキッズなど、日々危険な状況に曝されている子供たちを救済するボランティア活動に携わることを決めた。もともとボランティア経験はなかったが、自分の子供や孫のことを考えていくうちに関心が高まったという。最初は個人で孤児院でのボランティアを始め、数年かけて経験を積んだ。そして1990年に自腹を切って友人と共に非営利組織「Stand
Up For Kids」を立ち上げた。やがて活動が米政府にも認められるようになり、いくつか賞も受け、今では15の州で30の救済プログラムが実施されるほどに成長した。現在のKoca氏は理事長職を後進に譲り、事務局長の役としてサンディエゴで子供と孫と共に暮らしている。
■Stand Up For Kids
また、教師と派遣会社の経営者の経験を持っていたDon Schmitz氏の場合は、 自分の孫が米国を離れてスウェーデンに行ってしまったことをきっかけとして、その余生を、孫と祖父母の関係をできるだけ親密にしようとする“Grandparenting”事業に捧げることを決めた。教師と企業経営の経験を活かして、孫と祖父母が共に時間を共有して交流を図るアウトドアキャンププログラムとイベントを提供する事業を行うGrandkidsandme社と財団を1999年に設立した。
そこでの Schmitz氏は“Grandparenting”(日本でいう“親業”に似た“祖父母業”といえる)の専門家として講演をすると共に、毎月ニューズレターを発行し、それを編集して著書として出版している。
■Grandkidsandme
ここまで見てきたシニア起業例の多くは、ただ単に儲かりそうなビジネスに飛びつくのではなく、「自分のやりたいこと(社会に対してやるべきこと)」を明確に持つ事業プランに邁進して成功を収めている。体力的には若い世代に劣るものの、長年の経験や人脈を第二の起業に活かすことによって“生き甲斐”と“実益”の両方を得ている。シニアにとって、できるだけ体力的に無理のない起業プランを考えることは、「永続的な収益モデルを築くこと」とやがてリンクしていく。
■JNEWS LETTER関連情報
JNEWS LETTER 2003.5.14
<定年後からの創業を目指すシニアベンチャー成功の条件>
JNEWS LETTER 2003.4.13
<生存中は無料、死亡後の遺産で支払う高齢者サービスの動向>
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老後の家賃収入を期待した不動産投資ブームに仕掛けられた甘い罠
シニア起業の準備は、会社を定年してから始めるのではなく、現役時代から第二の起業に向けた種蒔きをしておくことが理想的であるが、現実には「やりたいこと」が見つけられない人のほうが圧倒的に多い。しかし退職金や年金制度の恩恵に預かれる現代のシニアは資金面での余裕はあるため、各種のビジネスチャンスには敏感に反応する傾向が高まっている。(※60歳以降の世帯貯蓄高は平均2千万円を超える)
そんな現代の恵まれたシニア層(シニア予備軍も含む)は贅沢品を購入(消費)することにはあまり興味を示さないものの、資金を増やすための投資話に対しては食指が動く。低金利時代が長引いて利息収入に渇望していることもあり、できるだけ安全で運用利回りの良い投資対象があれば「一口乗りたい」という人達が増えている。つまり、現代のシニア層は「消費者」としての顔だけでなく「個人投資家」の横顔も併せ持っているのだ。
従来の個人投資家といえば、10億円以上の資金を持つスーパーリッチ層を主に指していた。しかし近年ではインターネットによる投資環境や情報提供、それに小口の投資商品も充実してきたことから、一般の家庭でも“何らかの投資を行なっている”と言われるほど、個人投資家の水準も大衆化してきている。最も手掛けやすい投資活動と言えば「株式投資」が一般的だが、将来の不労所得を期待しての投資では不動産に関するものの人気が高い。しかしそこには弱肉強食の罠も潜んでいる。
不動産投資セミナーに群がる個人投資家達
数年前にロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さん貧乏父さん」という本がベストセラーとなったが、それに習って一般のサラリーマンでも将来の“金持ち父さん”になるべく不動産投資に興味を示す人達が増えている。マイホームとは別に、賃貸しできる収益物件を購入しておくことで、やがて会社を定年退職した後に家賃収入で暮らしていけることが目標である。そこに着目した不動産コンサルタントが開催する物件投資セミナーには毎回多くの参加者が集まっている。
実際に不動産に詳しい人の中では、自分で多数の収益物件を購入している人も多い。彼らのやり方は、まずお買い得といえる中古アパートや戸建ての住宅物件を探すことから始まる。良い物件が見つかると、それを自己資金ではなく全額を銀行からの借り入れによって購入する。月々のローン返済額は、購入したアパートの家賃収入から充当していけば、自己資金を使わなくとも収益物件を手に入れられるという試算だ。中古の物件では購入した当月から入居者の賃料がオーナーの元に入ってくるのが魅力。
収益物件の優劣は年間賃料総額を物件取得価格で割った表面利回りが何%かで判断される。平均的には5〜8%程度の物件が多い中で、10%を超えるものが優良物件とされている。例えば、満室状態で毎月の家賃収入が60万円得られる中古マンションを7200万円で購入すれば、表面利回りは10%ということになる。ただし現実には購入時の借り入れ金利や、今後の修繕費、空室率なども考慮しなくてはならない。
《収益物件における投資利回り計算式》
《投資を目的とした中古アパートの購入シミュレーション》
- 購入物件
1ルーム×9室の中古アパート一棟
- 購入価格
8,500万円
- 満室時の家賃収入
年間702万円(月58.5万円:1室6.5万円) ※表面利回りは8.2%(702万÷8,500万)
- ローン返済額
月々44.2万円×20年(総返済額は106,123,440円) ※借入れ利率は2.3%で試算
上の投資プランでは満室時の家賃収入からローン返済額を差し引いた黒字が14.3万円/月ほどあがる計算になる。もちろん常時満室というわけにはいかないため2部屋の空室があってもローン返済には支障がない計画だ。そしてローンが完済する20年後からは家賃収入が丸々儲けとなる。その時には既に建物が老朽化していても、土地だけは自分の資産として残る。そんな話が不動産投資セミナーでは繰り広げられている。
机上の計算だけでは成り立たない不動産投資
セミナーでの講義を聴けばとても魅力的な投資プランのように思えるが、個人投資家の動向に詳しい税理士の話では、実際にそれで成功しているのは十人に一人程度とのこと。
計画とのズレが生じるのは、やはり建物の老朽化に伴う修繕費の負担が次第に大きくなることだが、そこで惜しみなく補修やリニューアルをしていかないと空室率が次第に悪化してしまう。空室に苦しむ大家は家賃を値引きしたり、入居者の質を落としてまで部屋を埋めようとするために、さらに人気が下がる悪循環へと陥っていく。このような失敗例の多くは、不動産業者の勧められるままに物件を購入した人達だが、中古として販売される物件には必ず“売りに出される”だけの問題点が潜んでいるため、それを見抜いて購入しない限りは投資に失敗してしまう。
また一般のサラリーマン層には1億円を超す物件を一棟買いするだけの資金力はないため、彼らが狙うのは数百万円〜1千万円台の中古マンションを一部屋単位で、ということになる。しかし最近ではその水準にある中古物件の相場が、個人の投資ブームによって急騰してきた。
少し賢いサラリーマン投資家が優良物件を仕入れるために情報のアンテナを高めているのは裁判所が取り扱う競売物件だが、5百万円前後の最低価格で公示される優良な中古マンションに対しては数十件の入札があり、2倍以上の高値で落札されていくことも最近では珍しくない。入札者の中にはマイホーム目的と投資目的の人達が交錯しているが、競売で不動産を購入しようと考える人はそれぞれ情報収集には熱心であるし、よく勉強もしている人達だ。しかし勉強と努力だけでは、この水準の優良物件を他人よりも安く購入することが難しい時代に突入している。
一方、不動産のプロや資産家達は、このように個人投資家が殺到する小型物件は狙わずに、相応の資金力が必要な1億円以上の物件を割安価格で落札している点が対照的である。
本物の優良物件は掲載されない不動産情報誌の真実
本物の“金持ち父さん”を目指すのなら、不動産仲介業者やコンサルタントの提供するアドバイスや情報だけに従っているのではなく、自分の人脈や足を使って彼らより先に優良物件を掘り当てるだけの行動力とセンスの良さが不可欠である。以下のカラクリを知るとそれが理解できるはずだ。
不動産情報誌を眺めてみると、最も人気で流動性の高い(すぐに売りやすい)南面角地の物件はあまり見あたらないことに気付く。これは、本当に投資効果が高く魅力的な物件については、情報誌に掲載する前に業界関係者が自らの投資対象として押さえてしまうためである。
不動産仲介業を25年間営むA氏は、自分自身でも将来の資産形成のために現在5棟の中古アパートを所有している。すべての物件購入資金は銀行からの借入れによって調達されているが、銀行が彼の不動産投資をバックアップしているのは、彼の選定する物件がすべて南面角地に位置していることに理由がある。日当たり良好なこの位置にある土地は、仮にアパート経営に失敗しても柔軟な活用策が考えられるために担保として最適だ。
A氏に限らず不動産関係者の多くは、物件の売り手(または仲介者)としての顔を持つ一方で、自身も投資家として優良物件を物色している。極端な言い方をすれば、彼らが一般の顧客に紹介する物件というのは「自分の投資対象から外れた物件」ということになる。老後の家賃収入を期待して、若い時期から不動産投資に目を向けることも決して悪くはないが、この業界は弱肉強食の世界。信じられるのは、不動産に対する自分の鑑定眼と、数十年後の時代を予測する先見性のみである。その見通しを誤れば、せっかく苦労して積み立てた虎の子を失うことになるだろう。
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<消費でなく投資へと動きはじめる消費者の心理と金融資産の行方>
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