2003年展望ビジネスへの着目点

     

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2003年有望ビジネスへの着目点

 出口のない不況が続く中で2003年の幕が開けた。昨年を振り返れば株価は戦後最安値を更新し、失業率は5%の高水準で推移したままだ。昨年前半は円安基調のおかげで輸出関連企業の決算が若干上向いたものの、日本経済を立ち直らせるための本質的な解決策にはなっていない。

日本を取り巻く環境は今年も厳しいが、そこにまったく商機がないというわけではない。政治にしても経済にしても、ちょうど今の時期は、戦後から戦後を生きた先人達が作り上げてきた基盤の変革期にあたると考えれば、従来の収益構造が崩壊して利益を失う人(企業)が続出する反面、変化する時代にマッチした新しいビジネスを立ち上げて新しい利潤を手にする人も現れるはずである。起業家として大切なことは、常に時流に合ったビジネスを柔軟に組み立てられる発想と行動力である。

その「時流」としてインターネットを活用したビジネスモデルがあるわけだが、それだけでは“時代遅れ”と言われる時期へとそろそろ差し掛かっている。

2001年頃までは「IT」「ネットビジネス」というキーワードだけで事業を立ち上げることは容易だった。しかし2002年末時点でネット人口が5000万人を超えたと言われるまでに普及してしまうと「IT、ネットに精通したノウハウ」だけでは他社との差別化が難しくなってくる。これからの事業展開では、リアルな領域での専門分野を持ちながら、そこにネットを絡めることで「何が変わるのか」を消費者に向けて提示していくことが不可欠になる。

《参考:国内のインターネット普及動向(2002年11月末時点)》

 ・DSL によるネット利用者………………………… 511万件
 ・FTTHによるネット利用者………………………… 17万件
 ・CATV網によるネット利用者……………………… 190万件
 ・ダイヤルアップによるネット利用者……………2129万件
 ・携帯電話端末によるネット利用者………………5843万件

 ※利用者=加入者件数としての数値
 ※出所:インターネット接続サービスの利用者数等の推移(総務庁)


横軸でなく縦軸で考える事業プラン

 ITやネットによってビジネスの仕組みや組織の構造が変革されていく流れは、今後も続くが、デジタル化することが可能なシステムやノウハウは簡単にコピーされて、その価値は急落していくのが宿命。自分のビジネスモデルの中に「真似されないノウハウ」を埋め込むとすれば、それはリアルな領域の中で生み出すしかない。今後の事業プランを考えていく中では、リアルな専門領域を“縦軸”、IT、ネットによる仕掛けを“横軸”とした上で、縦軸に主眼をおいたビジネスを展開していくことが大切だ。ところが、ネットに傾倒した若手独立希望者の多くは、縦軸(専門分野)の知識、ノウハウ、人脈が乏しいために、その業界の人達にとって魅力的なサービスを生み出せていないのが実情である。

《事業プランの縦軸と横軸(例)》

          ●横軸:デジタル化する営業手法
         │eコマース│モバイル│eラーニング│その他
   ──────┼─────┴────┴──────┴───
 ● ・食品業界 │              │
 縦 ・衣料業界 │              │
 軸 ・住宅業界 │              ↓
 : ・教育業界 │────────────→自分(自社)
 専 ・健康医療 │             参入ポイント
 門 ・自動車業界│
 分 ・不動産業界│
 野 ・農林水産業│
   ・出版業界 │
   ・その他  │


オンライン販売の活路は新商品開拓にあり

 全国各地の名産品やこだわりの逸品を自宅から手軽に購入できるネット通販の利便性は、性別や世代を問わず幅広い消費者に浸透した。楽天市場がおこなったユーザアンケートによれば、昨年のお歳暮、クリスマス商戦では「かに」「讃岐うどん」「DVDプレーヤー・レコーダー」の伸び率が前年比 300%以上の伸び率となったという。「ネットで物を買うこと」は文化としても定着しつつある。

しかしその一方で、96〜98年頃から運営を続ける老舗ショップでは、売上げが大幅に成長、というよりは、横這いのままで推移しているケースが目立つ。これはサイト立ち上げ当初から販売してきた商材のライフサイクルが成熟化してきたことに理由がありそうだ。

オンライン販売の手法を工夫して10〜20%の売上げ増に時間を費やすよりも、現在の売れ筋商品(金のなる木)に変わる、新しい「花形商品」を育てることが急務の年といえるだろう。新商品開拓についての考察は下記2002.12.30号を参照していただきたい。

■JNEWS LETTER関連情報
 JNEWS LETTER 2002.12.30
停滞した売上げを2倍に増やすための新商品発掘の重要性
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2003年は“人”関連ビジネスに着目

 ビジネスを動かすための三大要素は「人」「物」「金」とよく言われる。「金」についてはおよそ10年以上前から株価崩壊、地価の下落に端を発して、資金の流れが悪循環に陥っていることは周知の通り。次に訪れたのが「物」に関する流通構造の改革や効率化で、大幅なコストダウンを実現させた結果、物価は下落方向へと進んだ。

ここから先もさらに商品の競争力を維持するためのコストダウン、効率化を進めるとするならば、「人の仕組み」を効率化させる道しか残されていない。もちろん大企業を中心としてリストラによる人材の効率化は既に実行されているが、まだまだ改善できる余地は大きい。世界最高水準にある日本の人件費がジリジリと国際標準へと向かうことが「人の仕組み」の変革に拍車をかける。

仮に、商品の価格を今よりも更に2割下げようと考えた場合には、商品の原材料費を2割下げることは難しいが、人件費を2割下げる(例:10人で担当していた製造工程を8人で担当できるように改善する)ことのほうが簡単に実現できる。

製造業界では、今年中に工場や製造現場への人材派遣が解禁される見通しだ。これによってメーカー企業では、自らが従業員を雇用、育成しなくとも、人材派遣会社から必要なスキルを持った労働者を調達できるようになる。製造工場は、景気変動によって繁閑の波が激しいために、経営サイドとしては仕事量に応じて人員調整ができる派遣制度の解禁は歓迎すべきことだが、労働者側では雇用が不安定になることから、労働組合からは反発の声も上がっている。

しかし事務職や製造業に限らず、あらゆる業界、職種において“正社員”から“非正社員”へのシフトが起こっている現状を踏まえれば、そこで職を失う人が出る反面、人材に絡んだ新サービスを立ち上げることでチャンスを掴む人も現れてくるのは自明の理といえる。2003年は良い面でも、悪い面でも、“人”に関連したビジネスが動くことは間違いない。

《人材雇用、派遣に関連したビジネステーマ例》

 ●人材エージェント
  …ヘッドハンティング、アウトプレースメント(再就職支援業者)など
   新しい形態の人材エージェント

 ●紹介予定派遣
  …企業側が将来的に社員として採用することを前提とし、その試用段階
   として派遣による就業をしてもらうという仕組み

 ●求職者を人材派遣会社へ紹介するサービス
  …各求職者の能力、スキルに応じて、最も適した派遣会社に人材を
   紹介するサービス

 ●スペシャリスト専門の人材派遣会社
  …経理、金融、IT、法律、経営管理などのスペシャリスト人材を
   専門に派遣するサービス

 ●“試用”をテーマにした学生向け就職支援サービス
  …アルバイト段階で適正を判断するインターンシップ制度など

 ■具体的なビジネス事例の解説記事
  JNEWS LETTER 2002.8.14
 <ホワイトカラーの転職市場を動かす人材エージェントの役割

  JNEWS LETTER 2001.11.22
 <雇用の“非正社員化”で浮上する人材派遣ビジネスの新しい形

  JNEWS LETTER 2001.10.1
 <雇用のミスマッチ解消に求められる就職支援サービスの方向性

  JNEWS LETTER 2002.5.25
 <就職支援ビジネスの新形態「インターンシップ」への着目
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疲れた人間を再生するための静脈ビジネス

 雇用、就職など「仕事」に関する“人ビジネス”以外でも、疲れた人間を再生するための「静脈ビジネス」と言うべき分野にも、新しいビジネステーマを多く見つけることができる。キーワードとなるのは「健康」「心」「子供(家族)」「高齢者」「環境」の“5K”である。“癒し”という言葉が流行していることからもわかるように、近年人気なっている商品やサービスには、この5Kに関連しているテーマが多い。

《●健康に関連したビジネステーマ》

 テレビ業界で「健康」に関連した番組が高視聴率を上げていることからもわかるように、一般の消費者は健康情報に対して敏感に反応している。ストレスの多い現代生活が健康には良くないことを説明して、手軽に健康へのダメージを補えることを謳い文句にしたサービスやグッズが人気だ。従来からある食材や日用品でも、「健康によい」という付加価値を付けることで、売上げが好転した事例が数多く報告されている。

有機野菜健康食品(サプリメント)の販売はオンライン上でも好調、ダイエットを支援するためのサービス、成人病を予防することができるサービスや健康機器など、新種の健康関連サービスによっても潜在的な需要が掘り起こせそうだ。またIT化された健康機器によって、摂取カロリーや血圧などの健康データをパソコン上で管理できたり、遠隔の専門家からアドバイスを受けられるサービスが米国では新しい市場を形成しはじめている。

 ■具体的なビジネスモデルの解説記事
  JNEWS LETTER 2001.4.23
 <IT化される健康測定器によって生み出される新しい健康市場

  JNEWS LETTER 2001.12.13
 <日本でも成長が期待できるダイエット支援サービス

  JNEWS LETTER 2002.5.16
 <拡大する糖尿病患者向け市場へと着目する新ビジネスの形

  JNEWS LETTER 2002.8.28
 <個人医療情報の電子化ビジネスにおける海外動向と可能性
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《●心に関連したビジネステーマ》

 精神的な疲労や心にストレスを抱えるビジネスマンが急増していることから、企業の職場ではメンタルヘルスケア対策が重要な課題となってきている。厚生労働省でも、企業に対して労働者の心の健康管理に関する指導をしはじめたことから、「Employee Assistance Program(従業員支援プログラム)」としてメンタ
ルケアができる体制を整備する会社が増えてきた。大企業では福利厚生の一環として、メンタルヘルスケアの専門会社と団体契約をして、従業員が匿名で自由にオンラインカウンセリングを受けられる仕組みを導入することも米国では普及している。「カンセリング」をビジネスとして成功させる急所は、EAP市場を取り込むことが鍵となる。

また「心を癒す」ことから発展して「心を励ます、勇気づける」ことを専門としたポジティブスピーカーコンサルタント、コーチも新しい職種として期待できそうだ。

 ■具体的なビジネスモデルの解説記事
  JNEWS LETTER 2000.12.16
 <ストレス社会に対応した米国メンタルヘルスの動向とEAP市場

  JNEWS LETTER 2001.9.12
 <“心の時代”のキービジネスとなるメンタルケアサービス

  JNEWS LETTER 2002.10.5
 <国内でも成長しはじめるオンラインカウンセリング業界

  JNEWS LETTER 2002.10.16
 <励まし系ビジネスとして注目するパブリック・スピーキング
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《●子供(家族)に関連したビジネステーマ》

 少子化が進行する中でも、子供をターゲットにしたマーケットは堅調に推移している。映画や音楽業界でも「子供と親とが一緒に楽しめる作品」が、大人市場と子供市場をダブルで取り込んで大ヒットへとつながることが成功法則となりつつある。昨年末に全国の映画館で行列を作らせた「ハリー・ポッター」はその好例だといえる。

近年は働く母親の増加によって、日頃は子供と一緒に過ごせる時間が少なくなっていることもあり、「子供と親との関わり方」が昔とは微妙に変化している点を捉えると、新しい子供マーケットへの視界が広がる。

 ■具体的なビジネスモデルの解説記事
  JNEWS LETTER 2002.3.11
 <自己防衛の時代が求める子供向け安全用品市場の可能性

  JNEWS LETTER 2002.4.23
 <ゆとり教育時代に求められる、才能開発型教育ビジネス市場

  JNEWS LETTER 2002.9.19
 <働く母親の増加で浮上する小学生を対象にした放課後教育市場
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《●高齢者に関連したビジネステーマ》

 「高齢者」と言ってしまえば耳障りが良くないが、2000年度の国勢調査によれば、日本の総人口1億2692万人に対して65歳以上の老年人口は2227万人(全体の17.5%)となっている。対して、15歳未満の年少人口が1845万人(全体の14.5%)であることから、老年人口が年少人口を上回るという高齢化社会へと日本は既に突入している。さらに、まもなく会社の定年を向かえる時期にあたる1947〜52生まれの、いわゆる「団塊の世代」の約1400万人が高齢者予備軍として控えている。

そこから現在の平均寿命にあたるおよそ80歳までの時間を、第二の人生としてどんなプランで生きていくのかは、まだ見えていない。65歳以上の人達が「高齢者」「老人」と呼ばれることを嫌う傾向は強く、従来のように「高齢者ビジネス=介護」という図式は成り立たない。元気なシニア層に対する市場は、子供市場と比較すれば、全くといえるほど未開拓のままである。

 ■具体的なビジネスモデルの解説記事
  JNEWS LETTER 2002.11.05
 <急増する高齢者に向けた新シニアケア・サービス最前線

  JNEWS LETTER 2001.6.10
 <シニア向け非医療ケアビジネスの未開拓市場と可能性

  JNEWS LETTER 2002.2.13
 <団塊世代のライフスタイル変化が教える次のビジネステーマ
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《●環境に関するビジネステーマ》

 自分や家族の生活環境についての安全意識も高まっている。自宅や職場が環境汚染されている、とわかれば敏感に反応して対策を講じようとする。地球レベルでの環境問題よりも、身近な住環境における対策ビジネスのほうが一般消費者からの食いつきは良い。

以前からシックハウス対策として、住宅内の化学物質汚染の状態を測定したり除去するサービスが人気だが、これからの新サービスとしては屋内の空気環境を診断、改善するサービスに注目しておきたい。空気が汚染される原因としては、建材から出る化学物質たばこの煙エアコンや換気扇など空調設備などの汚れなどが中心だが、これらの汚染源を特定して除去するサービスを全国展開するFC企業も米国で増えている。

 ■具体的なビジネスモデルの解説記事
  JNEWS LETTER 2002.6.23
 <屋内空気汚染対策で成長する空気ビジネスの米国最新動向

  JNEWS LETTER 2002.7.16
 <アレルギー人口の増加が生み出す住環境改善ビジネスへの着目

  JNEWS LETTER 2002.6.08
 <環境問題が後押しするカーシェアリング・ビジネスの採算性
  ※JNEWS正式会員バックナンバー用ID、PASSWORDが必要です。

 世の中の景気が停滞して多くの大企業が苦しんでいる状況では「新規事業を発掘することが難しいのでは」と考えがちになるが、それは違う。新規事業のネタは常に「不満」「不便」「矛盾」の中からから生まれてくるものだ。時代がネガティブな方向に振れて、人々の心の中で不自由さや不安な気持ちが大きくなれば、その弱った気持ちを埋めてくれるサービスや商品に対価を認めるようになる。消費者の行動や心理状態を冷静に観察して「何を求めているのか」を探ることで見つけられる新規事業テーマは、不況期のほうが見つけやすい。

デフレの進行により、多額の設備投資をしても、その資産価値が急速に目減りしてしまう時代では、ハードに依存した大企業的発想のビジネスは苦戦する。逆に、柔軟な発想、アイディアをIT、インターネットのような電子化された道具と融合させて、「知」「情」「意」といった“人の感性”に響くビジネスを開花させることは、身軽で行動力のある新興企業のほうが得意だ。「大企業が苦しんでいる間に新市場を奪取する」という考え方をすれば、2003年もポジティブな力が沸いてくる。



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