現代人が抱える「孤独」の正体とSNSユーザーの孤立度
先進国では1970年代から家族の形態が「大家族」から「核家族」に変化して、1990年代以降は少子化が深刻化した後、現在は「単身化」という社会問題を抱えている。単身世帯はすべての世代で増えており、「身近に頼れる人が居ない」という状況は、日常生活の不便だけではなく、孤独による生活意欲の低下や、健康状態の悪化など、メンタル面でもマイナスの影響が大きい。これは、テクノロジーだけでは解決できない問題である。
孤独な人が増える世の中は「Social isolation(社会的孤立)」として、うつ病や認知症、心疾患などの患者を増やすことを指摘した医学論文は多数発表されており、常に孤独を感じている人は、通常よりも死亡率が30~50%高くなると言われている。言い換えると、孤独は「1日にタバコを15本以上吸うこと」と同等の健康リスク要因となっている。
精神的な苦悩や身体機能の低下に繋がる「孤独」には、複数のタイプがあり、老人ホームのように集団生活をしていれば、孤独が解消されるわけではない。インドの精神科医が発表した論文では、孤独を以下の3タイプに分類しており、孤立者の治療や救済にも多様な選択肢を作る必要性が指摘されている。
《社会的孤立に陥る「孤独」の種類》
- 状況的な孤独
人間関係のトラブル、事故や災害、家族やペットの死亡など、本人を取り巻く環境の変化を要因とした孤独。女性は配偶者を亡くして未亡人となる確率が高いことから、平均寿命の長期化は女性の社会的孤立者を増やすことに繋がる。 - 発達性の孤独
人間は、他人との親密な関係を築くことで充足感を得ている。その一方で、「ひとりになること」が、高いレベルに成長していくためには必要であり、両方のバランスが崩れることにより孤独を感じるようになる。たとえば、学業や仕事で個人的な能力の限界を感じた時などには、孤独感が強くなる。また、老化によって身体の機能が低下して、自立した生活ができなくなった時にも、孤独感が伴う。 - 内面的な孤独
人間は単身でいること自体が孤独ではなく、他の家族や隣人と比較して「自分はひとりぼっち」と認識することで孤独感が強くなる。自己肯定感が低い人ほど、内面的な孤独感は強い傾向がある。
【現代人が抱く孤独の研究】
米国の保険会社、Cigna(シグナ)が、18歳以上の2万人を対象に20項目のアンケートを行い、孤独スコアを判定した調査(2018年)によると、米国人のおよそ半数は常に孤独を感じており、意外なことに「Z世代(18~22歳)」が最も孤独な世代という結果が出ている。
孤独は、ソーシャルメディアを利用しても解消されるものではなく、SNSのユーザー層と、SNSを利用しない層との比較では、孤独スコアには大きな差は生じていない。逆に、SNSで過ごす時間が長く、対面で人と接する時間が少ないほど、孤独感は強くなる傾向がある。
同調査の中では、孤独感を下げるポイントとして、適度な睡眠、家族や友人と過ごす時間、適切な運動量、満足度の高い仕事、という4項目を挙げている。人間には元々、社会生活を営むための本能があり、家庭、地域の仲間、職場などのコミュニティに属することで精神的なバランスを保っている。しかし、コロナ禍以降は、関わるべきコミュニティが、リアルからオンラインに移行していることも、社会的孤立者が増える要因になることは間違いない。
■Loneliness At Epidemic Levels In America(Cigna)
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・テレビをツールとした在宅介護のスタイル
・高齢者施設向けアグリゲーターの仕組み
・単身化で起きる社会的孤立の正体
・社会的孤立に陥る「孤独」の種類と特徴
・SNS利用頻度と孤独スコアの関係について
・高齢者向けハウスシェアリング事業
・定年後のダブルインカムを実現するシニア起業
・高齢者を固定客にする訪問理美容サービスの収益構造
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2021.3.30
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