日本と米国ではオンライン診療の形態が異なっている。オンライン専業のドクターが成り立つ米国に対して、日本では、地域の開業医が対面診療を 補完する役割としてオンライン診療が規制緩和されている(JNEWSについてトップページ
地方開業医を中心に展開される日本版オンライン診療

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JNEWS会員配信日 2020/2/18

 オンライン診療のサービス形態は各国の法律によって異なるが、日本では、対面診療を補完する目的でオンライン診療が認められるため、原則として初診は対面(通院)で行い、継続的な診察についてはオンラインで行うことも可能というルールになっている。※ただし、コロナ終息までの期間は暫定的に初診のオンライン診療が行える、期間限定の規制緩和が行われている。

そのため、遠方に住む患者をオンライン専業の医師が診療するスタイルは、保険診療・自由診療共に実現することが難しく、地域の開業医(クリニック)が通院圏内の患者を対象にしたオンライン診療が主流になっている。つまり「地域のかかりつけ医」が、対面(通院)とオンラインを併用する診療スタイルが、今後は普及していくことになるだろう。

かかりつけ医は、限られたスケジュールの中で、通院患者とオンライン患者の両方を診ることになるため、米国のように患者がアプリにアクセスすれば、オンラインで待機している医師の診察が即スタートするオンデマンド型ではなく、医師のスケジュールに合わせた事前予約型になるのも、日本の特徴だ。たとえば、火曜と土曜の午後をオンライン診療に充てている開業医であれば、その時間帯で患者が事前予約を行い、指定の時間に医師からのコールがかかる仕組みである。

《開業医オンライン診療の流れ》

 オンライン診療は、スカイプやZOOMのようなビデオ会議システムでも行えるが、セキュリティの問題と、予約機能や電子カルテとも連携しているほうが使い勝手が良いことから、オンライン診療専門のプラットフォームを利用するクリニックが9割以上を占めている。

日本では、オンライン診療のプラットフォーム開発を手掛ける業者が10社以上あるが、その中でも、株式会社メドレー(4480)が運用する「CLINICS(クリニクス)」は2020年2月の時点で、1,180件の医療機関が導入している。CLINICSオンライン診療には、予約管理・オンライン問診・ビデオチャットによる診察、オンライン決済など、遠隔診療に必要な機能が揃っており、医療機関は月額5万円~の予算で導入することができる。(医療機関の規模や診療科によって料金は変動する)

従来、クリニックの患者は高齢者の割合が高いが、スマホで気軽に受診できるオンライン診療は20~30代との相性も良い。この世代はまだ、かかりつけ医を決めていない顧客層でもあることから、地域のクリニックがオンライン診療に対応することは、若い固定客を獲得する上での有効策にもなる。

クリニックの集客では、診療内容を説明したホームページも重要になることから、オンライン診療機能の導入からホームページによる集客マーケティングをコンサルティング・運用代行する事業も、各地域の関連ビジネスとして成り立ちやすい。
開業医の平均年齢は、58歳と高齢化しており、医療以外の作業をする時間も無いことから、外部の業者に任せたいというニーズがあるためだ。

日本のオンライン診療は、一部の先進的な開業医の中で試験的な運用がされている段階だが、新型肺炎の二次感染を防ぐ目的として、普及のスピードに加速度を付けていく必要がある。ウイルスの脅威に対して人類が闘う上でも、医療従事者が患者を遠隔治療できるテクノロジーの導入と、法律面の規制緩和は急務の課題といえるだろう。

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