近年の保険商品は、検診データ等の分析により健康な人ほど、安価な条件で加入できる仕組みになっている一方で、持病を抱えていたり、重症患者を疎外(仲間はずれに)してしまうデメリットもある。 (JNEWSについてトップページ
医療費調達のクラウドファンディングと治験の仲介事業

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JNEWS会員配信日 2019/8/1

 近年、新たに登場している保険商品のコンセプトは、健康な人達がグループを作ることで、加入者の保険料負担をできるだけ減らそうとするものだ。さらに今後は、健康診断書の定期的な提出や、ウェアラブルデバイスの装着により、血圧や心拍数などデータをリアルタイムで送信することができる者ほど、安価に加入できる保険商品も増えてくることが予測されている。

しかし、このようにデジタル管理された医療保険は、既に持病を抱えていたり、重症患者を疎外(仲間はずれに)してしまうデメリットもある。そもそも、重症者だけが集まる保険制度というのは成り立たないため、そうした患者は保険以外の手段で、高額の医療費を工面することも必要になってくる。

具体策として、海外では医療系のクラウドファンディングが活用されはじめている。「GoFundMe.com」はその代表的なサイトで、難易度の高い手術や高額医療機器による治療が必要な患者が、年間で25万回以上の募金キャンペーンを行い、トータルでは6億5000万ドル/年もの資金を獲得している。患者側は、同プラットフォームでのキャンペーンを無料で立ち上げることができ、寄付された資金の2.9%が管理手数料として差し引かれる仕組みだ。

ただし、現状の医療クラウドファンディングは善意によって支えられ、資金の提供者に明確なメリットを与えられないことが、問題点として掲げられている。
キャンペーンで高額の資金を集めるために、できるだけ同情を引くようなメッセージで訴えることが重要視されるというのは、患者と出資者とが対等な関係ではない。

この問題を解決するには、製薬会社や医療機器メーカー、医療系のAI開発企業などに、患者の診療データを提供することと引き替えに、医療費の援助をしてもらうようなマッチングを仲介することも、1つの案になる。

製薬会社では、ガンの新薬開発に平均10年以上の歳月をかけているが、この期間を短縮するには、臨床試験(治験)に参加してくれる患者数を増やしていく必要がある。世界の製薬業界では、患者募集のために年間13億ドルもの予算を投じているが、治験に参加しているガン患者は全体の3~5%に過ぎない。

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