英国では救急医療のコールセンターにAIエージェントのチャットボットが導入されており、救急車を呼ぶべきか迷った時の医療相談ができる仕組みを運用しはじめている (JNEWSについてトップページ
医業現場で求められるメディカルAIエージェントの役割

JNEWS
JNEWS会員配信日 2019/8/10

 業務用のAIエージェントとして潜在需要が高い業界としては、医療が筆頭に挙げられている。病気についての相談は、医師が担当するのが基本だが、丁寧な個別対応をするのには、時間と人手が足りない。そこで、初期の相談相手をAIエージェントに担当させて、より詳しい対応が必要な場合には、専門医に引き継ぐような仕組みが求められている。

英国の公的医療として運営される国民保健サービス(NHS)では、救急対応のコールセンターにAIエージェントのチャットボットを試験的に導入している。英国には救急連絡用のコールセンター(999)と、救急車を呼ぶべきか迷った時の医療相談ができるコールセンター(111)の2種類があるが、後者の自動窓口としてチャットボットを設置して、患者が気になる症状をチャット形式で相談すると、AIが緊急性のある状態か否かを判断した後、適切な窓口へ繋げる。

このシステムを開発するのが、2013年に英国で創業した「Babylon Health(バビロンヘルス)」で、24時間年中無休のAI診断サービスを実現させようとしている。
バビロンの医療データベースには、数億件規模の症例データが蓄積されており、患者は、チャットボットの音声による質問に答える形で、自分の症状を説明していくと、AIが具体的な病名の判定と、その治療に適した専門医の紹介や予約までを行うことができる。

Babylon Health
■Babylonチャットアプリのデモ映像

Babylonが患者を診断する能力は、英国の医師が独立開業に必要な実力判定をする試験(MRCGP)で81点のスコアを2018年に取得している。試験に合格した医師の平均スコアは72点であるため、BabylonのAIエージェントは、実際の医師よりも高い診断能力が証明された形だ。

ただし、英国の法律では、AIが患者の診察を行うことはできないため、Babylonは、あくまで情報サービスという立ち位置で、医師の診察待ちを補完する役割が期待されている。英国では、患者数に対する医師の数は1000人あたり2.8人で、EU全体の平均(3.4人)を大きく下回っている。そのため、富裕層の患者でさえも、専門医の診察を受けるまでのウエイティングリストが長いという問題を抱えている。Babylonのビジネスモデルは...

この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

この記事の完全レポート
JNEWS LETTER 2019.8.10
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ

この記事に関連したJNEWS会員向けバックナンバー
中国が描くテクノロジー社会の輪郭とヘルスケアビジネス
医療分野で求められるリモート医師の仲介プラットフォーム
診療報酬の利害関係からみた医療テクノロジー開発の着目点
日本版オンライン診療の新設に向けたプラットフォーム開発
慢性病の潜在患者を減らす予防テクノロジーと医師の将来性


(健康関連ビジネス)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)

これは正式会員向けJNEWS LETTER(2019年8月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。

JNEWS LETTER 2週間無料体験購読

配信先メールアドレス

※Gmail、Yahooメール、スマホアドレスの登録も可
無料体験の登録でJNEWS LETTER正式版のサンプルが届きます。
 
Page top icon