存命中に生命保険を有効活用する方法が注目されている。単身者の増加や事実婚など家族の形態は変わってきていることから、生命保険の受取人についても多様な選択肢が求められるようになっている(JNEWSについて
生命保険金を前借りする人生決済と老後の介護モデル

JNEWS会員配信日 2016/12/5

 生命保険は死亡後でなければ受け取れないため、存命中に第三者が買い取るビジネスが米国では登場している。日本でも「生命保険を買い取って貰いたい」というニーズはあるものの、現状の買い取りビジネスは難航している。生命保険の買い取りを成立させるには、保険の受取人を「買い取りをした者」に名義変更しなくてはいけないが、保険会社側がそれに難色を示しているためだ。

生命保険買い取りニーズの根底にあるのは、契約者が保険料を毎月払い続けていても、中途解約をすると、返戻金は大幅に減額されてしまうことである。掛け捨て型の定期保険は、中途解約した時の返金は微々たるものであるし、貯蓄性のある終身保険でも、払い込んだ金額の60~70%にしかならない。

《終身保険解約返戻率の例(払込期間30年)》


【生命保険で人生の決済をする方法】

 日本では生命保険の売買は難しいが、存命中に生命保険を活用するには、大きく分けて3つの方法が考えられている。


1つ目は、保険会社が用意している「リビングニーズ特約」という制度を活用することだ。この特約は、医師から余命6ヶ月以内の告知を受けた場合に、死亡保険金の一部、または全額(上限 3,000万円)を、生前給付金として保険会社に請求することができる。つまり、存命中に自分の生命保険を受け取ることができ、税制面でも非課税の扱いになる。資金の使い道についても制約はない。

《リビングニーズ特約の仕組み》

ただし、余命宣告を受けなければ利用できないのが最大のネックであり、末期の患者でも、生きる希望は捨てたくないという人が大半のため、実際の請求件数はそれほど多くない。リビングニーズ特約の存在自体も、広くは知られていないのが実情だ。


【独身者の介護問題と生命保険の活用】

 2つ目の生命保険活用策は、親族間で保険金の譲渡取引をすることである。保険会社のルールでは、保険金の受取人は、配偶者または二親等以内の血族となっていることが多い。二親等には、祖父母、父母、兄弟、自分の子供、孫までが該当する。

《保険金受取人の対象者(2親等以内)》

しかし、独身者には、配偶者や子供が存在しないため、親が亡くなった後の保険受取人は、兄弟姉妹しかいなくなる。それも、自分と年は大きく離れてはいないため、保険金を渡す相手としてはベストではない。そこで、老後のサポートをしてもらうことを条件に、甥や姪を保険金の受取人にするという選択肢が浮上してきている。

甥や姪は3親等になり、本来は受取人に指名することはできないが、独身者の場合には、特例として認める保険会社が増えている。保険受取人の名義変更は、遺言書よりも手続きがしやすく、複数の甥や姪がいる場合は、割合を決めて分配することも可能だ。

《甥・姪に面倒をみてもらう独身者の老後プラン》


【事実婚パートナーに保険金を残す方法】

さらに3番目として、家族や親族以外にも保険金を渡せる仕組みとして使えるのが「生命保険信託」の制度で、一部の保険会社や銀行が普及を進めている。生命保険の契約者(本人)は、信頼できる相手(信託銀行)を受取人に名義変更をする。信託銀行は、本人が亡くなった後の保険金を管理して、実際に保険金を渡したい人へ、一括または定期的に支給していくものだ。

たとえば、入籍はしていないが、事実婚のパートナーに保険金を残したいというニーズは、LGBTのカップルを含めて少なからずある。従来の保険契約では、戸籍上の関係が無ければ、受取人に指定することは難しかったが、生命保険信託の仕組みを利用すれば可能になる。

《国内生命保険の契約高》

多様化する社会の中では、離婚や再婚は珍しいことではないし、晩婚化の傾向も顕著になっていることから、生命保険の活用プランにも変化が生じてきていることは間違いない。このトレンドは、掛け捨て型と貯蓄型を合わせて、国内で 約680兆円の契約高がある生命保険の行方に、大きく影響するものである。

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JNEWS LETTER 2016.12.5
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