海外ではペットのDNA検査ができる在宅キットが人気化。飼い主はDNAによる品種(血統)の特定や、遺伝子疾患の発症リスクを知ることにより、ペットの健康や長寿に役立つ食生活の改善や定期的に必要な検診項目を把握することに役立てている。
ペットDNA分析サービスの仕組みと集客経路

JNEWS会員配信日 2018/7/26

 飼い主ならば、愛犬や愛猫の健康に配慮して、できるだけ長生きしてほしいと願うものだが、そのための科学的な手法として、米国では DNA分析サービスが人気となっている。DNAによる品種(血統)の特定や、遺伝子的な疾患の発症リスクを知ることにより、今後の健康対策をすることができるためだ。

犬や猫の品種は、純血種であれば血統書が発行されているが、そこに書かれている情報が正しいとは限らないし、先々代よりも古い血統を把握するには不十分な面がある。また雑種やミックス犬(純血種と純血種を掛け合わせた犬)の場合には、正しいしつけをしていく上でも、血統をルーツとした性格や習性を知っておくことが重要になる。また、子孫を増やすための繁殖パートナーのマッチングにも役立つ。

また、高級マンションでは、犬の品種によって飼育可否を決める規約(ペットポリシー)を作り、ペットの飼育を希望する入居者は、DNA検査による犬種の証明書を管理組合に提出しなくてはいけないケースが増えてきている。隣人に迷惑をかけない小型犬のみを“飼育可”とすることでマンションの秩序を保とうとする規約は、以前から多くの物件で導入しているが、DNA検査により、血統による性格の分析や、子犬が成犬になったときに、どのサイズまで大きくなるのかを正確に予測することができる。

米国では犬・猫用のDNA検査キットが多数販売されており、60~200ドル程度で業者の公式サイト上やアマゾンからオンライン購入することができる。検査の方法は、キットに付属している綿棒で口の中のDNAを採取、郵送することで、数週間後に検査結果のレポートが届く。人間に行われるDNA検査キットと同じ仕組みだ。

《ペット用DNA検査の流れ》

各業者によるキットの価格差は、どこまで詳しい検査結果を提供できるのかの違いとみてよい。犬用のDNA検査キットでシェア率が最も高い「Embark」は、これまでに蓄積された20万件以上の遺伝子マーカーから、175種類の犬種で純血か混血かの判定と、混血の場合には、父系・母系の血統を知ることができる。

さらにレポート内では、遺伝子からみた予想寿命の提示と、犬の遺伝子病として現れやすい緑内障、変性性脊髄症、拡張型心筋症などのリスク判定もするため、飼い主や獣医はそのデータに基づいて、健康寿命を伸ばすための食事の与え方や、定期的な検診項目を検討することができる。

Embarkの検査キットは、個人向けには199ドルの設定だが、ブリーダー(繁殖家)や獣医師に対しては割引価格を適用している。特に獣医師向けには、プロ用の検査レポートを提供することで、ペットクリニックの診療価値を高められる、Win-Winの提携関係を広げようとしている。

また、個人向けの販路開拓では、アフィリエイトプログラムが導入されている。
実際に検査キットを利用した飼い主が、レビュー記事をブログやSNSに投稿したリンクから、新たな注文がされると10%のアフィリエイト報酬が支払われる仕組みになっている。多くのアクセス数やフォロアーを獲得しているペット分野のインフルエンサーに対しては、レビューをするための検査キットを無料で提供することも行っている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

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