製薬企業が狙うリタイア研究者の頭脳仲介ビジネス

JNEWS会員配信日 2017/6/14

 考え方によっては、50代後半~70代にかけての有能なリタイア人材は、優れた経験や知識を備えた、お買い得な労働力と捉えることもできる。そこには、研究開発型の企業も着目しており、大手メーカーなどをリタイアした研究者やエンジニアを、非常勤のコンサルタントとして迎え入れることで、製品開発のノウハウやアイデアを入手しようとする動きもある。

「YourEncore」は、経験豊富な研究者を、世界の大企業や急成長中のベンチャー企業に仲介している会社で、主なクライアントとしているのは製薬業界である。

同サイトは、化学、薬品、医療などの分野で25年以上の実務経験を持ち、現役を退いた研究職のエキスパート人材を数千人規模でネットワーク化しており、クライアントの製薬メーカーが研究開発を進める上でのアドバイザーとして参加させている。

エキスパートの仕事は、プロジェクト単位で形成されているチームの中で、フルタイムまたはパートタイムで従事する形になる。勤務の形態は、クライアントの所在地により、オフィスへの通勤とテレワークが使い分けられている。報酬レートはプロジェクトの種類や、求められるスキルによっても違うが、平均すると1時間あたり100ドル前後と高額である。

多くの企業では、研究者が退職する際には、1年間は同業他社への転職やコンサルティングなどは行えない規則(競業避止義務)を定めているが、その期間を経過した後の元研究者を、外部エキスパートとして他社に仲介するのがYourEncore社のビジネスである。

Your Encore

リタイア研究者の仲介ビジネス

日本でも、戦後のメーカー企業を支えてきた技術者が、大量に定年退職する時期を迎えて、中国や韓国の起業が彼らをスカウトすることによる頭脳流失が問題になっている。それを回避するには、有能な技術者は、定年後も非常勤顧問のような形で、自社の研究開発に関わってもらう方法もあるが、若い技術者への世代交代を遅らせる弊害もある。それを解消しながら高度シニア人材を仲介する仕組みが求められている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

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JNEWS LETTER 2017.6.14
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