障害児を支援する放課後デイサービスの仕組みと採算構造
JNEWS会員配信日 2017/2/9
国が法律に基づいて整備を進めている「放課後等デイサービス」は、障害のある学齢期の子どもが(小学生から高校生まで)、学校や家庭とは異なる環境や人間関係を通して、生活能力向上のための訓練や、社会との交流を促進することを目的としている。また、障害児を育てる保護者のサポートや情報交換の場としても期待されている。
施設の運営は民間業者に任されており、行政の認可を受ける必要はあるが、設備にかかる費用は高くはない。施設内の訓練スペースは児童一人あたり2.47平米以上と決められているが、定員10名の施設なら約30平米、それに個別相談と静養ができる部屋を設ければ良いため、空き店舗などを活用することも可能。児童の送迎サービスを行うことも認められており、遠方からの通所にも対応できる。
平均的な開業資金は300~500万円、事業を軌道に乗せるまでの運転資金を含めても1000万円以内で収めることが可能だ。
開業への実質的な課題となるのは、障害児の訓練指導やサポートを担当する人員の確保だが、国のガイドラインで人員基準が以下のように定められている。
この中の「児童発達支援管理責任者」は、病院や福祉施設などで障害者支援の実務を5年以上経験した者(看護師など国家資格者は3年)が、各都道府県が行う5日間の研修を受講することで、資格要件をクリアーすることができる。
「指導員」については、これまでは資格要件が無かったことから、人材採用のハードルは低く、未経験者をパートとして採用するケースも多くみられる。
現状の放課後等デイサービスは、公的な給付額が高いことから、事業規模に対しての収益性は高い。ただし、1施設あたりの売上高は“定員数”によって上限が決まるため、このビジネスで成功ノウハウを会得した業者は、フランチャイズ方式で全国に加盟店を増やしていくか、開業支援のコンサルタントとして活動していくのが常套手段となっている。
しかし、利益優先で開業した業者の中には、適切な授業や訓練を行わない施設もあるため、2017年1月に厚生労働省が運営条件を厳格化する方針を固めたことで、業界に激震が走っている。これからは、施設が採用する“指導員”に対しても、障害者支援の実務経験や資格が求められるようになり、素人のスタッフを集めて基準をクリアーすることが難しくなる。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
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