スマホアプリが変えるデジタルヘルス産業
JNEWS会員配信日 2017/4/25
世界保健機関(WHO)の統計によると、世界の医療市場は約520兆円の規模がある。その内訳は、病院やクリニックが行う医療サービスが 430兆円、処方される医薬品が70兆円、治療に使われる医療機器が20兆円という構造になっている。しかし、治療の成果に基づいたバリューヘルスケアへの改革が起きると、在宅患者の健康モニタリングをする需要が一気に拡大するため、IT分野の新興企業でも、そこに参入できるようになる。
世界に普及しているスマートフォンを中心としたモバイル端末は、家庭用医療デバイスの最有力候補でもある。アップルは、医療向けiPhoneアプリを開発するためのプラットフォームとして、「Research Kit」と「Care Kit」という2つのキットを、デベロッパー向けにオープンソースで提供している。このキットにあるモジュールを使うと、iPhoneから健康状態のモニタリングやデータ収集をするアプリを開発しやすくなる。
具体例として、自身が糖尿病を患っているエンジニアが創業、開発した「One Drop」は、糖尿病患者向けのスマホアプリで、血糖値のデータを毎日管理して、医師や同じ病気と闘う他のユーザーと共有することができる。
このアプリ自体は無料で提供されているが、患者が指から微量の採血をして血糖値を測定する専用キット「One Drop Premium」を有料で販売するビジネスモデルになっている。血糖値を測定するデバイスには、Bluetoothの通信機能も搭載されているため、血糖値のデータはワイヤレスで患者のスマートフォンに転送することが可能だ。
IT系のデバイスを医療機器として販売する場合には、国の認可を受けるのが難関だが、One Dropのキットは、米国食品医薬品局(FDA)の正式な承認を受けることに成功している。同社の発表によれば、One Dropのユーザーは、アプリによる血糖値の管理をすることで、生活習慣の改善効果がみられ、平均血糖値は185mg/dL(HA1c 8.1%)から158mg/dL(HA1c 7.1%)に下がっている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
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