知的障害を乗り越えた教育をサポートするテクノロジー開発

JNEWS会員配信日 2017/2/9

米国では、知的障害児向けの教育体制が古くから整備されて、大学への進学、卒業後の就職までをサポートする道筋が出来ている。その根底にあるのが、1990年に制定された「障害を持つアメリカ人法(ADA)」という法律で、身体や知的な障害による差別が全面的に禁止されている。

たとえば、企業の採用面接では、応募者に障害の有無や症状を質問することは禁止されており、採用後に担当する仕事を遂行できる能力の有無で、合否の判断しなくてはいけない。

大学教育でも、障害者のある学生を前向きに受け入れる大学が増えており、マサチューセッツ大学ボストン校が、障害者向けに情報提供する「Think College」というサイトによると、全米で246の大学が、知的障害者向けの入学プログラムを用意している。

■Think College
  http://www.thinkcollege.net/

障害のある学生は、国や州の補助金で雇用された補助教員のサポートを受けながら、単位の取得を目指している。通常の学生は、授業を聴きながらノートを取るが、障害者はそれが難しいため、ノートの記録を担当するボランティア(ノートテーカー)を授業に同行させることや、教員が授業で使用したデータを貰うことも認められている。

現状では、障害のある学生が、健常者と同じレベルで学位を取得できるところまでには至っていないが、ハンディをカバーできるテクノロジーの導入で、カリキュラムの到達度を高めていくことが、次の課題として掲げられている。これは「アシスティブ・テクノロジー(AT)」というカテゴリーで、新たな市場を形成しはじめている。

「Sonocent」は、スマートフォンやタブレットで録音した授業の内容を、テキストデータに変換するためのソフトウエアで、PDFやパワーポイントの図表を挿入することもできる。もともとは、障害者の学習を支援する目的で開発されたものだが、企業の会議を記録する用途や、や社会人の語学学習向けにも販売されている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です記事一覧 / JNEWSについて

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