保険会社が求める高齢ドライバーの安全システム
安全対策が求められる分野は広がっている。その中でも急務といえるのが、急増する高齢者ドライバーに向けた安全システムを開発することだ。65歳以上の高齢運転手による交通事故は、10代~20代前半の若者に次いで多い状況となっている。
高齢者の運転免許は早めに返上させるべきという意見もあるが、米国の交通安全財団(AAA)の研究では、運転すること退いた高齢者は、行動範囲が狭くなることで友人との付き合いも減り、身体と精神面の衰えが早くなり、要介護やウツ病になる確率が2~5倍高くなることが報告されている。そのため、強制的に免許を取り上げるのでなく、最新のテクノロジーで高齢者の運転をサポートすることが望ましいとしている。
自動車メーカーは、衝突防止自動ブレーキ、駐車場でのパーキングアシスト機能、高速道路での自動運転機能などを新型車に搭載しはじめているが、広く普及するまでには時間がかかるため、現状で利用できるツールとしては、米国で10代のドライバー向けに導入されている安全システムがヒントになる。
保険会社の Allstate社が提供している「Drivewise」はその一つで、車に専用のデバイスを装着すると、運転している時間帯や距離、アクセルやブレーキの踏み方などが自動計測されて、データをパソコンやスマートフォンからチェックすることができる。
もともとは、保険会社が、運転の安全度や走行距離をモニタリグして保険料を変動させるために開発されたものだが、高校生のドライバーを保護者が監視するシステムとしても活用されている。
同様に「Driver Feedback」というアプリも、保険会社のState Farm Insurance社が提供するもので、スマートフォンの GPSと加速度センサーから自動車の走行状況を把握して、安全運転のランクを点数化することができる。こちらは車両に専用のデバイスを取り付ける必要がない。
高齢ドライバーの事故率が上昇していることに対して、保険金支払いの負担は重くなってきていることから、保険会社をスポンサーとした安全システムの開発は進められている。
自動車メーカーや保険会社にとって最も危惧するのは、運転を引退する人の増加により、自動車の販売台数や保険の契約数が減少することであり、高齢になっても安全な運転ができる技術への投資には前向きだ。
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