JNEWS会員配信日 2014/9/30
受験生やビジネスマンは、睡眠時間を削るほど「がんばっている」と評価される風潮があったが、それが間違いであることは、各方面の研究成果からも明らかになってきている。睡眠の内容を科学的に把握して、勉強や仕事が忙しい中でも、熟睡できる時間を一定のリズムで作ることが、目標達成への近道になる。
心睡眠のサイクルは、深い状態(ノンレム睡眠)と浅い状態(レム睡眠)を1セットとしたサイクルが約90分の周期で訪れるため、90分を倍数とした睡眠をとるのが良いと言われている。
ただし、同じ睡眠時間でも、睡眠の質によって疲労の回復度は異なるため、自分にとって理想の睡眠パターンを把握することが重要になる。そこで、睡眠の状態をデータとして把握する「スリープ・トラッキング」が、健康管理のためにも行われるようになってきた。
最近では、iPhoneの加速度センサーを利用して睡眠状態を把握するアプリが多数登場しているが、それだけでは測定できるデータの精度が低いため、専用のデバイスも開発されている。
「Beddit」は、ベッドのシーツ下に敷くタイプの超薄膜センサーで、就寝中の体の動きや姿勢、心拍数、呼吸数などを計測して、ワイヤレスでスマートフォンに睡眠のデータが送信される。そのデータを分析することで、睡眠のリズムや質を可視化したり、眠りが浅くなった覚醒時にアラームを鳴らすことで、快適に目覚めることができる。また、睡眠中に「いびき」を掻いているかの検出もして、睡眠障害の発見に役立てることもできる。価格は149ドルの設定。
Bedditの開発には、睡眠医学の研究者も参加しており、睡眠中に「いびき」を掻いているかの検出もして、睡眠障害の発見に役立てることもできる。
潜在的に睡眠障害の症状がある人は、日本でも成人の2割近くが該当する(厚労省調べ)とみられている。特に、睡眠中に呼吸が断続的に止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の患者は、慢性的に眠りが浅くなり、日中に急激な眠気に襲われることから、業務中に事故を起こす確率が高くなる。
企業としても、従業員の睡眠状況を把握して、SASの疑いがあれば、具体的な治療が必要になる。顧客を巻き込んだ重大事故を起こせば、企業の責任を問われるためである。
しかし、8割以上の潜在患者は未発見のままとみられており、米コンサルティング会社「Markets and Markets」の試算では、睡眠時無呼吸症候群の診断と治療に関する市場は、2017年までに世界で 197億ドル(約2兆1千億円)に拡大すると予測している。「Beddit」のようなデバイスは、その市場を意識した上で開発されているものだ。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●科学的に解明される現代人の睡眠事情
●企業向け昼寝ポッドのレンタルビジネス
●昼寝サロンは儲かる商売か?採算と問題点
●旅行者向け仮眠サロンの可能性
●体内時計からみたシエスタ制度の是非
●シフトワーカー向け勤務管理ソフトへの需要
●世界で異なる時間習慣とビジネスパートナーとの交流スタイル
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2014.9.30
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