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  市販されているオリーブオイルの大半は「バージン・エキストラ」の表記があるが、100%純粋なオリーブだけで抽出された商品は非常に少ないのが実態。オリーブオイル本場の欧州でも不正が横行しているため、「オリーブオイルの鑑定人」という職業も登場している。
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オリーブオイルのランク偽装と
食用油マーケットに潜む危険
written in 2012/7/15

 消費者からすると、認証マークがある商品を選べば「安心」という意識から、割高な値段でも購入しているわけだが、オーガニックの認証は、あくまで「農場から化学物質が検出されなかったこと」を証明するものであり、じつのところ、商品の最終的な品質とは関係ないのだ。

オリーブオイルを例にすると、認証マークを取得しているメーカーの中でも、抽出の温度が高すぎてオイルを劣化させていたり、鮮度が古いオリーブを原料として使っていること、貯蔵タンクの汚れによる沈殿物などにより、低品質の商品を出荷するメーカーが増えている。それは、味の微妙な違和感として表れてくるが、これを見抜ける消費者は少ない。

特に、日本の消費者は、もともと「オリーブオイル本来の風味」を知らないため、日本人が長年愛用し続けてきたサラダ油に近い、無臭のオイルを好む傾向があるという。そのため、オリーブの実から 100%抽出した正真正銘の「バージン・エキストラオイル」でなくとも、品質をごまかすことが容易であり、日本の大手食品メーカーは、スペインやイタリアから安価なオリーブオイルを輸入した上で、最上級(バージン・エキストラ)として販売している。

「バージン・エキストラ」と明記されているにも関わらず、数百円〜千円程度で売られており、かつ賞味期間が3ヶ月よりも長いオリーブオイルであれば、ごまかしがあると疑うべき。それを見破るには、オリーブオイルの分類として以下の4ランクを理解しておくと役立つ。

《オリーブオイルの分類(スペイン)》

●最上級ランク「バージン・エキストラ・オリーブオイル」
    オリーブの木になっている実を、特殊な機械で摘み、直ちに搾油所で搾り取った 100%純粋なオリーブオイル(油分が多いオリーブのジュース)を指す。香りと味わいが芳醇で、酸味は 0.8度以下と言われている。防腐剤は含まれていないため、賞味期限は3ヶ月程度と短い。

●「バージン・オリーブオイル」
    バージン・エキストラと同様に、オリーブの実をそのまま搾ったオイルだが、酸度は2ランク低くて、若干の風味が劣っている。

●「ランパンテ」
    バージン・オリーブオイルの中でも、悪天候、実を収穫するタイミング、搾油過程の失敗などにより、味や香りが失われてしまった欠陥を、化学的な方法によって再生されたオイル。「ランパンテ=悪質オイル」を意味するため、この名称で流通することはなく、普通の「オリーブオイル」として市販されている。

●「オルホ」
    バージン・エキストラ、またはバージン・オイルの搾油過程で出たペースト状の液体や固まり、つまり「オリーブのゴミ」を利用した、2番煎じのオイルを指す。さらに遠心分離など物理学的な処方や、化学的な溶媒によって、滓(カス)に残存している油分を最後の一滴まで搾り取っている。

 オリーブオイルの品質をごまかすことは、輸出品に限らず、現地でも行われており、問題が深刻化している。スペインのスーパーでは、500mlの缶や瓶であれ、1Lや5L入りのプラスチック・ボトルであれ、ランパンテやオルホのオイルに「バージン・エキストラ」のラベルが貼られ、売られている。

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この記事の核となる項目
 ●多種多様なオーガニック認証の業界構造
 ●オーガニック・ブランドビジネスの実態
 ●品質とは無関係なオーガニックのカラクリ
 ●オリーブオイルのランク偽装問題
 ●日本へ輸入されるオリーブオイルのカラクリ
 ●日本の食用オイルマーケットにある深層
 ●安全と品質を見極めるスペシャリストの必要性
 ●欧州ワイン農家が守る「信用」の築き方と新ビジネス
 ●スローライフ志向のエリート客を取り込む持続型レストラン
 ●健康と手軽さを備えたインスタント・オーガニックの新市場
 ●趣味と実益を兼ねたワイン先物取引に学ぶ食農ビジネス
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