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  米国の国民一人あたり医療費は、日本と比べると約3倍と世界で最も高い。しかし高度医療サービスの技量や品質も世界最高の水準で、これからの医療業界がヒントにできる新サービスのテーマがたくさん実現されている。
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医療格差を容認した米国健康保険の仕組みと
長寿への人生プラン
written in 2011/9/18

 米国の医療費が高いことは世界的にもよく知られていることだが、具体的には日本の約3倍という高さになっている。

その理由としては、(1)医師や看護士に支払う費用が高額である。(2)誤診で訴訟を起こされることを防ぐため、すぐに各分野の専門医へまわされ、いろいろな検査を行うことが多い。(3)病院や開業医が患者側から訴訟を起こされた場合に備えて、保険に加入しているが、この保険の支払いが、開業医によっては収入の約3割にも達している。(4)国民皆保険制ではないので、診察や検査の料金に一定の基準がなく、医師や病院側が独自に決めている。などが挙げられる。

《世界の国民1人当たり年間医療費(2008年)》

  

特に「米国に国民皆保険制度がない」ことは、医療格差の主な要因になっている。2010年にオバマ大統領が、医療改革法にサインをしたが、今後も民間の健康保険に依存していくことは、以前と変わっていない。

これは、日本で民間の自動車保険や生命保険に加入して、万が一の事態に備えるのと似たものと捉えるとわかりやすい。米国には、健康保険を比較するウェブサイトがあり、家族保険ならば本人の性別、年齢、タバコや飲酒をするか否かの質問に答えて、家族構成、居住区を入力すると、保険会社が販売する100種類近い健康保険が比較できるようになっている。これら民間の健康保険は、どの病院でも診察を受けられるのではなく、保険のランクに応じて保険会社が定めたリストの中から選んで、受診するようになっている。

■健康保険の比較サイト(ehealthinsurance)
  http://www.ehealthinsurance.com/individual-family-health-insurance

たとえば、30代で独身、非喫煙者で飲酒もしないという条件で健康保険を探すと安いもので月100ドル(約8,000円)、高いもので月に400ドル(32,000円)近い健康保険の一覧が検索される。

しかしその中には、免責額が設定されている保険もある。実際に診療代として病院に支払った金額が 年間1,000ドル(約8万円)までは保険を使用せず、自分のポケットから払い、それ以上の金額になると保険が適用されるという仕組みだ。

免責額が 年間3,000ドル(約24万円)の健康保険に加入するということであれば、普段の軽い病気の診療代は自腹で負担して、大きな怪我や重い病気で入院した時に備えて保険に加入しておくという意味合いになる。

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この記事の核となる項目
 ●世界で最も高い米国医療費の実態
 ●自分で決める健康保険の予算と医療プラン
 ●米サラリーマンの健康保険加入ルート
 ●米国の高齢者医療と福利厚生への依存
 ●疾患別にみた米国の入院費用
 ●日本よりも優れた医療ホスピタリティの状況
 ●健康レジャー施設化する米国の総合病院
 ●病院との連携による健康スクール
 ●米国からアジアへの医療ツーリング市場
 ●薄利多売型で疲弊する日本医療への処方
 ●一億総中流が崩壊した日本における相対的貧困者の実態
 ●患者の懐具合によって決められる医療サービスの松・竹・梅
 ●玉石混淆の健康サービスが生き残るための医師との協業ビジネス


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