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  肉を食べる割合を減らして、野菜中心の食生活を目指す「セミ・ベジタリアン」は先進国で5〜10%の潜在層がある。彼らがお手本としているのが、伝統的な日本の食文化で、味噌や豆腐は欧米でヘルスフードとしての人気が上昇している。
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世界で拡大するベジタリアン市場と
崩壊する日本の食文化
written in 2009/2/2

 日本人の食生活が変化してきている傾向は、統計データからも確認することができる。和食が中心であった昭和40年代と比較すると、現代では年間に一人あたりが食べる米の量が6割弱にまで減っているのだ。野菜の摂取量についても昔は一日300gを食べていたのが、現在では250gまでに減少している。厚生労働省が算定している、理想的な野菜の摂取量は「一日に350g」と言われているため、現代人はそれよりも100gも野菜が不足していることになる。

《日本人の食品摂取量の変化(一日一人あたり)》

  日本人の食品摂取量の変化(一日一人あたり)

メタボ対策としてダイエット熱が高まる中、一日のカロリー摂取量でみると、意外にも日本人は昔も今も大きな変化がみられない。それより問題なのは“食べ物の質”が変わっていることで、米や野菜中心から、肉類や脂質が高いジャンクフードを好む食生活へと変化してきているのだ。これが生活習慣病を起こす一因になっていることは疑う余地がなく、健康を気遣う上で最も基本的で効果が高いのは、食事の内容を改善することである。

そこで欧米では、野菜中心の食生活に切り替えるベジタリアンが増えていて、米国や英国では人口の5〜10%がそれに該当する層だと言われている。ベジタリアンの中には、動物を搾取したり苦しめたりすることを避けたいという意図により、肉の他に乳製品や魚も一切食べず、衣類では毛皮や革製品、さらに化粧品も使わない「ビーガン(vegan)」と呼ばれる厳格な人達もいるが、最近増えているのはそれとは違った、“健康な食生活”を主な目的としたもっと緩やかなベジタリアンである。

まったく肉を食べないというわけではなく、なるべく食べないようにしている「セミ・ベジタリアン」や、肉は食べないが卵や乳製品、魚介類などは食べる「ノン・ミートイーター(non-meat eater)」など、ベジタリアンの種類は多様化してきており、以前のように「ベジタリアン=気難しい人達」ではなくなってきている。

ベジタリアンの食生活が健康に良いことは科学的にも実証されてきており、米国栄養士協会のレポートでも、ノンベジタリアンと比較するとベジタリアンは心臓病、高血圧、肥満、脳梗塞、脳卒中、癌などに対するリスクが低いことが報告されている。たとえば、赤身や白身の肉を好んで食べる人よりも、野菜(食物繊維)をたくさん食べる人のほうが大腸ガンのリスクが大幅に低くなる。また、大豆の中に含まれる「エストロゲン」という物質が乳ガンや動脈硬化の予防になることもわかってきている。このような食品と健康との因果関係は、世界の医師や研究者によって発表される論文に基づいているものだが、化学的に合成されたサプリメントよりも魅力的な効能が、自然の野菜には備わっていることが科学的な根拠よって見直されてきているのだ。
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この記事の核となる項目
 ●変化している日本の食生活と、欧米のベジタリアン人口
 ●日本人の食品摂取量からみた食生活の異変
 ●野菜とサプリメントはどちらが優れているのか?
 ●政府が仕掛けた米国のベジタリアン市場とその事情
 ●世界のベジタリアンが求める日本食ブランド
 ●ベジタリアン市場における日本企業の戦い方
 ●農水省が考える日本食レストランの認証ビジネス
 ●健康理論に基づいた食事法〜 FOOD 2.0への動き
 ●100万人会員を超すオンラインダイエットサイトの事業モデル
 ●科学的な理論と手法によるダイエット専門家として起業する道


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