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Health2.0型サービスが狙う 医療ビジネスの参入ポイント |
written in 2008/12/1
胃薬や風邪薬などの市販薬がコンビニでも販売できるようになる一方、インターネットでの販売には規制がかけられる見通しになっている。ネットは対面の販売ができないことが理由のようだが、それなら大手のドラッグストア店舗でも同じことだろう。最近では個人情報の観点から、大勢の客がいる店頭で「どんな症状ですか?」と聞くことにも問題があって、先方から質問や相談をされた時以外は、無言のまま販売しているのが一般的である。
医薬品は安全面で配慮が必要な商品ではあるが、それを「インターネット販売だから禁止」とするのはおかしい。遠隔であっても最新の技術を使えば、薬剤師がダイレクトに顧客からの相談を受けたり、アドバイスをすることは店頭よりも得意で、むしろ“ネットによる安全な販売方法”を模索していくことのほうが今後の医療改革としては重要だ。
欧米では市販薬ばかりでなく、病院の処方薬でさえも、正式な処方箋があればオンライン購入ができるようになっていて、慢性的な持病のある患者は最も安い購入ルートを探して自分の薬代を節約している。この方法を飛躍させると、米国の患者が、もっと物価が安い国のオンライン・ドラッグストアに処方箋を送り、同じブランド名の薬を安価に購入することも不可能ではない。薬は国による内外価格差が非常に大きく、同じ商品でも日本で1錠あたり 170円のものが、欧州ではたったの40円ということもある。
ただし「薬が便利に買える」ことのデメリットとして、消費者が副作用の強い薬を自分の判断で安易に使うようになり、米国でも間違った服用による死亡例や、常習によるドラッグ中毒者の増加が社会問題として浮上してきた。そのため米当局では違法なオンライン・ドラッグストアに対する取り締まりを強化する動きになっている。インターネットが普及して以降、薬のオンライン販売業者は爆発的に増えたが、そろそろ業者の淘汰が必要な時期に差し掛かっているようだ。
薬の安全な売り方や取り扱いについての議論は、なにもオンライン・ドラッグストアだけの話ではなく、病院の医師が処方する医薬品についても様々なミスや事故があって、それを解決するための策が求められている。この問題を紐解くには、市販薬のネット通販だけでなく、処方薬までを含めて世界でどんな医薬品に関連した新ビジネスが巻き起こっているのかを把握する必要がある。
薬を安く売ることもビジネスの一つだが、患者に薬を安全に服用してもらうためのサービスも重要で、今後の大きなビジネステーマになる。良くも悪くも、これからの医薬品ビジネスはインターネットと切り離して考えることは難しいため、今後は善玉業者としてのビジネスモデルを構築していくことができれば、巨額の医薬品市場におけるパイを奪うことができるというのが、欧米の考えとして一致している。これは「Health2.0」という新たな医療ビジネスの動きとリンクして
いるが、はたして日本はその波に乗ることができるのだろうか。
(健康関連ビジネス一覧へ)
●多様化する薬の流通ルートと医薬品の値崩れ現象
●現金問屋に流れる医薬品二次流通ルートの実態
●医師向け医薬品輸入代行のビジネスモデル
●暴走する欧米のオンラインドラッグビジネス
●処方箋薬をオンライン販売する欧米薬局の仕組み
●消費者の安全を重視したeコマースの再構築と販売モデル
●医薬品から始まるeコマース業界の安全改革
●無人から有人対応のリアルタイム・オンライン販売へのシフト
●健康上の不安を解決するアンサリングサービス
●保険会社が仲介するメディカル・アンサリングの仕組み
●薬害情報の収集と提供をする医薬品ポータルサイトのビジネスモデル
●グーグルが狙うパーソナルヘルス市場と電子処方箋サービス
●30兆円超を動かす医師との関係作りと名医格付ビジネス
●病気を治すことから察知することへ変わる Health 2.0の兆し
●医療現場から学ぶセカンドオピニオンによる助言業務の仕組み
JNEWS LETTER 2008.12.1
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