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  高齢者人口の増加に伴い公的老人ホームの数が不足している。そこで民間の老人ホームが各地で建設されているが、そこには巧みな錬金術が潜んでいる。老人を「顧客」とすることで成り立つ業界の仕組みを解説。さらにその周辺で成り立つ新ビジネスについても紹介。
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需要の拡大が確実な
老人ホーム事業のビジネスモデルと錬金術
written in 2004/11/23

 オフィスビルやマンションの空室が次第と目立ちはじめる中で、入居希望者が急増しているのが「老人ホーム」を中心とした老人福祉施設である。2015年には国民のおよそ4人に1人が65歳以上になると見込まれる高齢化社会への加速と、ライフスタイルの変化によって、子供夫婦が年老いた親と生活をする同居世帯が減少していることにより、高齢者向け施設に対する需要は高まるばかりだ。

政府は2000年からの介護保険制度導入に合わせて「ゴールドプラン21」を策定して老人施設の大幅な拡充計画を打ち出した。それに応じて施設数は急ピッチで増えているものの、これから世界最速のスピードで増える高齢者人口の需要を満たすだけの受け皿はまだできていない。

《老人ホーム施設数の推移(全国施設の定員数の合計値)》
    老人ホーム施設数の推移

入居希望者が殺到する公的老人ホーム事情

    上図の中で●印は公的な施設を指す。“公的”といっても国が運営するのではなく、審査を受けて認められた社会福祉法人が施設の経営をして、国がそこに公的な補助をするという仕組みである。

    「養護老人ホーム」は身体や経済的な問題のある高齢者向けの施設で、生活保護を受けているなど、特別な理由のある人のみが入居できる。公的な老人ホームとして最もポピュラーな施設は「特別養護(特養)老人ホーム」で、介護の必要な高齢者が月々低額の料金(月5万円程度〜)で入居することができる。ただし現在は入居希望者が殺到しているため1施設あたり平均 200人以上の順番待ち(入所待機者)があり、申込みから2〜3年待たなければ入居することが難しいという状況。

    「軽費老人ホーム」は特別な介護の必要なく日常生活を送れる高齢者(単身者または夫婦)を対象にした施設で、主に個室が与えられるスタイルが一般的。食事の用意や浴室の有無によって「A型」「B型」「ケアハウス」の種類が分かれている。月々の入居料には一人あたり6〜15万円程度と、特養ホームよりは高めの設定だ。

    これら公的老人ホームは比較的安い料金で利用できることもあり、申込者は多く“順番待ち”の時間を長く覚悟しなくては入居することが難しい。しかし入居希望者にはそれぞれ家庭内の事情もあって「すぐに入居したい」という人が大半を占めている。そこで経済的に余裕のある高齢者やその家族は、民間の有料老人ホームを利用することになる。

    有料老人ホームという名称からは福祉施設としての色合いが濃いものの、これは民間の企業や団体が経営する歴とした営利事業である。入居希望者は公的施設とは違った、なるべく年寄り臭くない洗練されたサービスを望んでいるため、レジャー業界やホテル業界などからも有料老人ホーム事業への参入が慌ただしい。
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この記事の核となる項目
 ●異業種から参入する老人ホーム事業の新たなビジネスモデル
 ●入所一時金による施設建設のカラクリ
 ●既存施設を老人ホームへ転用するモデル
 ●先を行く米国のシニアケア施設にみるトレンドと商業主義
 ●進化多様化している米国“老人ホーム”の光と影
 ●不動産業界が狙う高齢者施設入居の仲介業と評価情報
 ●有料老人ホーム入所者仲介サービスの仕組み
 ●有料でも成り立つ老人ホームの格付・評価情報
 ●需給を先読みした新しい賃貸ビジネスによる副収入の狙い方
 ●一人暮らし世帯の増加にフォーカスした住宅業界の新市場
 ●急増する高齢者に向けた新シニアケア・サービス最前線


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JNEWS LETTER 2004.11.23
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