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医薬分業によって期待される
調剤薬局の役割と採算構造

 ひさしぶりに病院で診療を受け、帰りに窓口でいつものように薬をもらえると思ったら処方箋を渡され、一瞬どうしていいか、とまどった人も少なくないだろう。そこで「なぜ病院のすぐ隣に薬局が新規開店したか」その理由を初めて知ることになる。これは診療と薬の調剤を別に行う「医薬分業」制度によるもの。欧米では既に定着しているが、日本国内では1974年の診療報酬改定以降進められてきたものの浸透率は低かった。

利用者からみれば、今までどおり病院内で薬を受け取る方が便利で、わざわざ薬局へ行くことに対しての利点を見いだしにくい。しかし、医薬分業にはさまざまなメリットがあるとされており、それに呼応するかのように調剤薬局の新規開業が加速している。診療と薬が別になることの煩わしさを補って余りあるメリットが患者、薬局双方にもたらされるというのが医薬分業の目指す姿である。

《医薬分業がもたらす主なメリット》

◎薬歴管理による安全性等の向上
「かかりつけ薬局」として、患者個別に薬歴管理を行うことで、複数診療による薬の重複や相互作用などが確認できるようになり、薬の服用における有効性や安全性が向上する。
◎服薬指導による有効性、安全性の向上
薬の用法や効能、副作用などの服薬指導を患者に行うことにより、服薬の有効性や安全性が向上する。
◎処方せんによる情報開示
処方箋を患者が見ることにより、患者は自分が服用する薬についての情報を得ることができる。
今日本国内には5万軒近い保険薬局が営業しているが、この内の88%が処方箋で調剤を行う調剤薬局。調剤薬局の業界では、薬の販売自体による利益(薬価差益)は得られにくくなってきているが、“指導管理”の単価や種類は拡大してきていることから、今後は「薬を売ること」よりも、丁寧な薬剤の服用指導や管理を行うことを重視する調剤薬局が増えてくることになりそうだ。これは薬局が情報サービス業としての側面を持つことを意味していている。


この記事の核となる項目
 ●期待される調剤薬局の役割と採算性
 ●門前薬局の阻止と有望視されるかかりつけ薬局
 ●薬局における技術料と情報提供で稼げる調剤報酬の仕組み
 ●かかりつけ薬局が抱える在庫問題
 ●在庫問題解決が導く薬局のネットワーク化
 ●ファックス調剤による薬の宅配サービス
 ●同業・異業種間で連携する在庫共有の可能性とビジネスチャンス


この記事の完全情報はこちらへ
JNEWS LETTER 2003.9.1
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