経済指標を先取りするSNS分析とWebスクレイピング
世界のニュースで新型コロナの感染が報じられたのは、中国武漢市で市中感染が広がり始めた2020年1月15日頃からのことだが、それよりも2週間以上早いタイミングで、クライアントの投資銀行や保険会社に警告を通知したのが、ソーシャルメディア上の投稿データからリスク検出をする「Dataminr(データマイナー)」」という会社だ。
同社のAIは、2019年12月30日の午前11時頃に中国のSNS上で「武漢市でSARSに似た伝染病が発生している」という投稿を19件確認して、数分後にクライアント企業へのアラートを発している。米国政府が中国の新型コロナ感染を公式に発表したのは、それから7日後のことである。
Dataminr社は、米国内のクラスラー発生動向も、政府の公式発表よりも6~13日早く検知しており、今後どの地域で感染拡大していくのかを把握する上での先行指標になっている。具体的な調査方法は、Twitterを中心としたSNS上で、家族、友人、同僚に対して、PCR検査の判定結果、マスクなどコロナ関連物資の不足などが報告される投稿数の増え方を、人口10万人以上のエリア別に分析することで、初期の感染拡大が起き始めた地域を特定している。
※Dataminrによる米国内のクラスター予測
DataminrのSNS分析は、他の自然災害や事故、企業のスキャンダルが発覚する時にも、ニュース報道よりも数時間~数日早くアラートを発してきた実績があり、投資銀行やヘッジファンドでは、アラートと同時に関連企業の株式を自動売買するプログラムを組んでいる。具体例として、2017年にフォルクスワーゲン(VW)がディーゼル車の排ガス量を不正に操作するソフトウエアを組み込んでいるスキャンダルが発覚した際にも、DataminrはVW社の株価が30%暴落する3日前に、関連のアラートを発信している。
景気の先行指標は、SNSの他にも様々なWebサイトから探ることができ、それらのリサーチ方法は「Webスクレイピング」と呼ばれている。一般に公開されているWebサイトから、求人情報、価格情報、不動産相場など、投資家が目的とする情報を自動収集して、過去データとの比較分析ができるクラウドプラットフォームを開発する新興企業は複数登場してきている。
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