クローン化して広がるローカル・シェアリング経済
経済産業省の委託により野村総研が行った調査によると、日本の家事代行市場は2017年の時点で 698億円と小さい。調査対象となった世帯の中で、家事代行を利用したことがあるのは1割未満だが、サービスへの関心を抱いている潜在層は8割を超していることから、2025年までには少なくとも2,000億円、最大で8,000億円超に成長すると推計されている。
家事代行に関心のある世帯は多いが、利用するまでのハードルとなっているのが、「価格の高さ」と「他人が家に入ることへの抵抗感」である。価格について、現在の利用者は、1回あたり9,000円以上を払っている割合が最も高いが、家政婦を時給で雇う業者が、2倍以上の単価で料金設定していることが関係している。
これを、家政婦と利用者とが直接取引する形にして、仲介業者のマージン率を下げれば、同じサービス品質でも料金を下げることは可能である。
「他人が家に入ることへの抵抗感」についても、家政婦のプロフィールやレビューを詳しく開示したり、利用前にビデオ面談ができるようにすることで、新規顧客の不安を軽減することはできる。利用後のアンケート調査では、「継続利用したい」「まあ利用したいと思う」という回答が8割を超していることから、家事代行のサービス自体は満足度が高い。
【ローカルに細分化するシェアリング経済】
こうした点からすると、規模は小さくても、信頼できるヘルパー人材を集めた家事代行の仲介サービスは、ローカルなシェアリングサービスとして各地で増えていくことが予測されている。
英語圏では、食事のデリバリー、洗車代行、犬の散歩、ハウスキーピングなど、各カテゴリーのシェアリングサービスを手掛ける中小業者が多数登場しているが、それらの集客基盤となるサイト構築やアプリは、インドのシステム会社によって開発されているケースが多い。シェアリングサービスで必要な機能の大半は共通化できるため、ソースコードが驚くほど安く出回っている。
お手本とされているのは、「Uber」や「TaskRabbit」など、大手のシェアリングサービスで、それと同じ機能をテンプレートとして開発して、中小のシェアリング業者向けに安価で提供することは、UberクローンやTaskRabbitクローンと呼ばれて、インドでは流行っているのだ。
クローンサイトの中では、シェアリングサービスを立ち上げるのに必要な、オンデマンド人材の登録、ユーザーレビュー、予約管理、料金の決済、モバイルアプリなどが標準仕様として既に用意されており、数千ドル(数十万円)の料金を払えば、ソースコードの一式を購入することができる。そこから機能の修正や追加が必要な場合は、1時間あたり15ドル前後でカスタマイズにも応じている。
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